本研究は、申請者が独自に開発した柔軟直動モータを用いて、自身の形状を大きく変形できるソフトヘビ型ロボットの開発を目指している。提案するロボットは、トビヘビを模倣した胴開閉機構を取り入れることで、環境とのインタラクションを自発的に変化できる。生物規範ロボットを用いたアプローチによって、柔軟性が環境への適応性に与える影響を明らかにし、形状の変化による狭所および壁面における踏破性の向上を調査する。 今年度は、前年度で試作したヘビ型ロボットのモデリングおよび踏破性試験を行った。開発した胴開閉機構は、ロボット本体の幅を55mmから165mmまで大きく変形させることができ、環境に応じて異なる接触インタラクションを用いることができる。受動摩擦、把持、径方向膨張の3つの接触相互作用を試験し、それぞれ平坦な面、薄い壁、狭い空間でのロボットの移動に成功した。具体的には、径方向膨張は狭い環境での移動に役立つ。ロボットは体を円周方向に拡張し、基板に押し付けて摩擦力を発揮する。この手法は、密閉されたチューブやパイプ内の移動には役立つが、開放空間から密閉空間へ、あるいはその逆への移行は難しい。そこで開放空間と密閉空間の遷移を調べるために、110 mm幅の2つの壁を用意した.解放空間では受動摩擦を、密閉空間では径方向膨張をそれぞれ利用することで、ロボットが開放空間から閉鎖空間へうまく遷移することが確認できた。最後に、マルチボディダイナミクスに基づくモデルを開発し、提案モデルが連続体ロボットの非線形な変形を予測できることを実験で検証した。
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