本研究では低温で固相結晶化した水素化多結晶酸化インジウム(In2O3:H)薄膜の金属から半導体への転移に成功し、酸化物半導体薄膜トランジスタ(TFT)にて多結晶シリコンを凌ぐ、世界最高の電界効果移動度139.2 cm2V-1s-1を実現した。具体的には、水素濃度を制御した多結晶 In2O3:H 膜において、格子像が確認できる優れた結晶性を低温(~300℃)で実現しつつ、金属的伝導から半導体伝導にキャリア濃度を約3桁制御する手法を見いだし、高移動度酸化物半導体デバイス応用の可能性を拓いた。また、In2O3:Hは透明かつ低温合成可能であり、次世代ディスプレイや半導体メモリーの高性能・低電力化に加え、透明フレキシブルデバイスなどへの発展が期待できる。 一連の研究成果は、国際学会2件(招待講演)、国内学会5件(うち2件招待講演)、受賞2件、「Nature Communications」を含む英語査読論文2本の掲載に繋げた。
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