研究課題
本課題では、一般的なアクリルプラスチック光ファイバ(POF)中のブリルアン散乱の観測を目的としていたが、多種多様な工夫を施して試みたものの、信号対雑音比(SNR)が低く、明瞭な観測には至らなかった。しかし、その過程で多くの新しい成果を得ることができた。最終年度は、(1) 電気スペクトラムアナライザ(ESA)を用いないブリルアン周波数シフト(BFS)の検出法の確立、(2) フレネルアシスト方式によるブリルアン散乱スペクトル(BGS)観測系の最適化、(3) アクリルPOFの長距離テーパ加工法の確立、(4) 感度領域を制御可能なインライン干渉計の提案、などの成果を得た。以下、詳細を記す。(1) 一般的な自己ヘテロダイン検波に基づくBGSの観測系では11GHz帯対応のESAが用いられるが、ESAは大型かつ高コストであり、システムの小サイズ化・低廉化を阻んでいた。そこで、BGSのビートダウンと低域通過フィルタを組み合わせることで、ESAを用いずにBFSを検出する手法を提案し、基本動作を実証した。(2) 非常に簡素かつ高SNRのフレネルアシスト方式のBGS観測系において、測定ファイバの開放端に反射率可変ミラーを設置することで、BGS観測のSNRを最適化することに成功した。(3) アクリルPOF中のBGSの観測を容易にすべく、長距離にわたるテーパ加工法を提案した。アクリルPOFはガラス転移温度が低いため、熱湯に浸漬して引張ることで、テーパー加工が可能である。このとき、両側から引張る速度を同じ向き・異なる速度とすることで、従来実現されていない10mオーダの長距離のテーパ加工に成功した。(4) 異なるモードフィールド径を有するシリカ単一モードファイバを直列に接続し、一方に局所的な荷重を印加することで、感度領域を自在に制御できるインラインマッハツェンダ干渉計を構築できることを実証した。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (42件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
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