研究課題
本研究では、高温・高圧環境を発生し、さらにその場で試料の物性測定を行える材料合成プラットフォームの開発を目指している。当該年度には、高圧発生のためのダイヤモンドアンビル上に、導電性のホウ素ドープダイヤモンドから成る加熱用電極、温度測定用電極、および物性測定用電極を微細加工することに成功した。ホウ素ドープダイヤモンドは機械的・化学的に安定であるため、高温高圧環境でもロバストに動作する。さらに、ダイヤモンドアンビル自体が割れてしまわない限り、洗浄して繰り返し使用できることも示された。微細加工したダイヤモンドアンビルを用いて、BiS2系超伝導体に対する高温高圧実験を行った。まず、La(O,F)BiS2単結晶に対して、1~2GPaの圧力を印加しながら、700℃まで加熱を行った。その結果、常圧における超伝導転移温度の大幅な上昇が確認された。また、EuFBiS2の原材料の混合粉に対して、3GPaの圧力下で650℃程度の加圧を行うことで、高温高圧環境下での試料合成を行い、その圧力下で超伝導特性も評価した。その結果、過去に報告されているEuFBiS2の高圧下での転移温度を観測することに成功した。これらの結果から、到達温度や圧力は低いものの、実際に高温高圧下での試料の合成およびその場物性測定を行うことができ、進捗は順調であるといえる。
1: 当初の計画以上に進展している
研究計画では、初年度にBiS2系の高温高圧実験を行う予定であった。この予定通り、高温高圧環境の発生に成功し、BiS2系超伝導体の合成や超伝導特性の測定を行うことができた。また、今年度に取り組む予定の水素化物超伝導体の合成実験のための予備実験も済ましており、研究は当初の計画以上に進展している。
今年度は、予定通り水素化物超伝導体の合成に取り組む。そのための水素充填環境の整備などにも昨年度の余剰時間で取り組んでいるため、スムーズに水素化物合成実験に取り組むことができる。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 産業財産権 (2件)
Journal of Physics: Condensed Matter
巻: 33 ページ: 225702~225702
10.1088/1361-648X/abe81b
Applied Physics Express
巻: 14 ページ: 043001~043001
10.35848/1882-0786/abec91
Superconductor Science and Technology
巻: 33 ページ: 124005~124005
10.1088/1361-6668/abbdc5
Applied Physics Letters
巻: 116 ページ: 223506~223506
10.1063/5.0004973