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2020 年度 実施状況報告書

津波即時予測のための周波数特性を考慮した地形による津波増幅効果の定量化

研究課題

研究課題/領域番号 20K22432
研究機関京都大学

研究代表者

宮下 卓也  京都大学, 防災研究所, 助教 (60874104)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード津波 / 津波応答関数 / 海溝型地震 / 南海トラフ地震
研究実績の概要

(1)津波の伝播経路推定
津波の地形による応答特性を定量化するためには,波面が波源域からどのような経路を辿り沿岸域に達するかを把握する必要がある.これにもとづき,ray tracing手法を用いて津波が沿岸地点に達するまでの経路を様々な波源を対象に推定した.空間解像度15秒のGEBCO2020の高解像度地形データを用いて,南海トラフの震源想定域をから100地点程度抽出し,各沿岸地点への伝播経路を求めた.抽出対象地域は,高知県,大阪湾湾奥部,および駿河湾湾奥部とした.計算結果をもとに,等深線と津波経路(ray path)の交点を基準とし,津波挙動の空間スケールが大きく変化する主要な点を抽出した.
(2)津波モンテカルロシミュレーション
地形の特徴的な応答を抽出するためには,多様な津波の入射条件(波長・波向) を用いて計算を行うことが必要である.そこでGoda et al.(2016)を基本とした確率津波モデルを用いて,多数の震源モデルを人工的に生成し,個々のシナリオについて津波伝播計算を行った.津波計算の基礎式は非線形長波方程式とし,数値モデルは適合格子細分化法(AMR法)を採用しているGeoClaw (Mandli et al., 2014)を用いた.多数のシナリオで広域の津波計算を行うことから,効率的な計算を行うために事前にAMRの格子分割基準のパラメータについてチューニングを行い,最適なAMRの格子分割条件を特定した.続いて,生成した津波のシナリオに基づき広域の津波計算を行い,求めた伝播経路上の地点における時系列波形を抽出した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

南海トラフ地震津波を対象として,波源域から沿岸域までの伝播経路を多様なシナリオで推定できた.また最新の公開地形データGEBCO2020を用いることで,空間解像度が従来の2倍となり,より信頼性の高い伝播経路となった.一方で,モンテカルロシミュレーションにおいては計算機の更新に伴い使用可能な期間が当初の想定より短くなり,想定していたケース数の計算が終了していない.

今後の研究の推進方策

日本の太平洋沿岸域でいくつかの代表地点を選定し,計算対象地域を絞った上で,200ケース以上のシナリオを考慮した津波のモンテカルロシミュレーションを行い,以下の2項目について実施する.
(1)周波数応答解析
津波の波源情報と沿岸域の津波波形から地形による津波の応答関数を抽出する.多様なシナリオを考慮した津波モンテカルロシミュレーションの結果から津波波形のスペクトル比を算出し,伝播過程における振幅成分の変化を求める.スペクトル比について多数シナリオの幾何平均をとることで,特徴的な地形効果が現れると想定している.これを応答関数とし,その分布や周辺地形による影響について考察する.
(2)地形増幅効果の定量化
得られた応答関数を用いて,周波数特性を考慮した地形による増幅率を計算する.応答関数の精度評価へのフィードバックを行いつつ,適切な時系列データ範囲,増幅率算定のためのフィルタリング手法を推定する.最終的には,得られた増幅率を用いて,既存の津波増幅指標(例:グリーンの法則)との比較による増幅率の性能評価を行い,津波の継続時間判定や,津波波高に対する波源と地形それぞれの寄与率の算定を可能にする計画である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 適合格子細分化法を用いた南海トラフ沿いの巨大地震津波の数値計算2020

    • 著者名/発表者名
      宮下卓也、GOMEZ-RAMOS Octavio、森信人
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 76 ページ: I_289~I_294

    • DOI

      10.2208/kaigan.76.2_I_289

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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