大量の気象シミュレーションの結果であるd4PDFを積雪変質モデルの入力値とする数値実験を行った。その結果、気温上昇により、弱層の強度増加の速度がこれまでよりも早くなるため、多くの地域で弱層の頻度は低下することが分かった。一方で、弱層よりも上層の積雪層の重さ(上載積雪荷重)の将来変化を調べたところ、新雪の弱層に対応する上載積雪荷重は、太平洋側の地域で増加し、しもざらめ雪に対応する上載積雪荷重は、日本海側の高標高帯で増加することが分かった。上載積雪荷重は、弱層が破壊されたときに流下する雪の量を表しており、以上の結果は起こりうる雪崩の規模が大きくなることを示唆している。
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