本研究は,自然災害の被害低減に資する宅地建物の撤退・再自然化の事例研究を通じて,減災・復興事業誌手法の検討・開発を行うものである.米国で展開されている宅地撤退(バイアウト事業)を管轄するFEMAの過去30年間のデータから,投じた予算の変遷並びに高床補助事業予算の変遷を定量的に示した.重要な結論として,米国における防災投資は被災後の復興予算から事前防災に制度的な重心移動が明らかとなった.また,バイアウト事業の非参加者へのインタビュー調査を通じ,被害の再発生度合いやコストだけではない地域への定住意向が示唆され,災害リスクという変数のみで移住定住選択を決定しているわけではないことも明らかとなった.
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