医療施設ではなく居住施設としてのハンセン病療養所の機能に着目し、社会背景や居住者ニーズの変化に対する入所者住宅の変遷について調査を行った。患者住宅の数や立地、入所者数や年齢構成の推移、施設整備状況などから各療養所の住宅計画を明らかにし、全体の傾向やそれぞれの施設特性について分析を行った。同じ制度下で設置、運営された施設であっても建設時期や立地状況によって異なる特徴が見られ、療養所に対する各々の思想が施設計画に現れる事例が確認された。これらの特徴は施設の拡大、縮小など変革期において顕著に表れる傾向にあり、今日では終の住処の選択や外部への施設開放などの面で違いが表れることが明らかになった。
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