近年,住宅(寝床内環境含)やオフィス等の多様な活動量を加味した熱的な快適性を評価する手法の必要性が高まっている.これを実現するには,人間の行動や心理・生理を加味しながら,我々はどのようなときに快適・不快と感じるかをライブ状態で計測し,そこから不均一・非定常な熱的快適性に関する知見を得る必要がある. 研究代表者は,従来では難しかった移動を伴った人体の近傍における不均一・非定常な温熱環境の測定と評価を行うことを目的として,空気温度・相対湿度・照度・風速センサを備えたウエアラブルセンサを開発している.また,スマートフォンによって位置情報や代謝量,時刻や心理量の申告を1秒間隔で計測し,これらの情報を可視化・分析するためサーバにデータを蓄積するシステムの開発を行っている. 本年度は,放射温度を含めたウエアラブルセンシングデバイスの開発を行った.空気温度・相対湿度・照度・風速・位置情報・時刻・代謝量・心理量(申告値)を取得するシステムに加え,放射温度(長波)に関しては,開発済みの6面長波長センサーのチャンネルが増えた分のマイコンおよび通信環境の強化を行った.風速はアナログセンサでデータを取得しており精度に難があったが,機械学習によるキャリブレーションを開発したことにより,簡易的な方法でキャリブレーションが可能になった.放射温度(短波)に関しては,別途新しいセンサを検証しており,長波短波を同時に計測できるようにシステムを統合する予定である.
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