研究課題/領域番号 |
20K22451
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
鶴岡 典慶 京都女子大学, 家政学部, 教授 (80883628)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 近世寺院建築 / 木割 / 伝統木造構造技法 |
研究実績の概要 |
本年度は、東北地方のうち、青森県に所在する江戸時代寺院本堂及び類例調査として近世霊廟の現地調査を行った。調査では、建物の軒廻りや軸部の構法について詳細に確認することが出来たが、雨天等の悪天候により実測調査は捗らず写真撮影を中心とした調査に止まった。また全国の修理工事報告書の構造形式項目、技法調査項目、及び図版から主要寸法や一般図の抽出を行い、各部材の形状や大きさの分析を行った。 軒高に対する軒の出の比例では、総体的に大きな差は見られないが、建物規模が大きくなるに従い軒の出の比率が小さくなる傾向が認められた。これは軒を支持するための構造的な限界が関連するように思われるが、さらに詳細な検証を行っていきたい。 部材の形状では、まず垂木断面において、正方形に近いものから縦長に成形されるものまであり、垂木は近世の木割を検討する上で重要な要素であることから、支割との関連性の有無も含めて、多岐にわたる推定を試みながら様々な比較転検討を行う必要があることがわかった。今後はこれらの分析を進めていく。 一方で、計画している現地調査がコロナによりほとんど進んでいない。報告書では記載漏れ等により寸法が不明なものや、写真等による部材形状が確認できないものがあるため、現地調査は必要であるので、限られた研究期間の中で調査対象物を精査し、必要最小限の現地調査は実施できるように社会状況を見極めながら計画を策定していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績でも触れたとおり、コロナ感染の拡大等により現地調査を行うことがほとんど出来ていないことが研究の遅れの大きな要因となっている。 また、修理工事報告書等の文献調査においては、概ね資料収集は進んだが、一部未調査のものが残っており、コロナが収まった時期に出張して収集する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの収束状況を見計らいながら現地調査を効率的に実施するとともに、各種部材寸法等のデータの分析を進め、木割技法が進み画一的となったと見られていた近世という時代の歴史的建造物の構造的特徴を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大に伴う行動制限等により、計画していた現地調査が困難となったため、当該年度使用額の執行が出来なかった。 次年度においては、コロナ感染対策に十分留意しつつ、行政等の指針を遵守しながら現地調査計画を策定して速やかに実施し、当初の研究目的を達成できるように努めていきたい。
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