研究課題/領域番号 |
20K22473
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
近藤 永樹 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 研究職員 (30884770)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | グルタミン酸 / 2-ピロリドン / アミノ酸変換 / 触媒 / 金属酸化物 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、水素ガスの加圧供給に代わり水から由来する水素を用いた水素添加機能を持つ触媒を開発し、その触媒をアミノ酸の変換反応に適応し、環境調和型かつ実現性のあるプロセスを設計する研究である。グルタミン酸は天然物から回収が可能であり、還元反応によりポリアミド4の原料となる2-ピロリドンへ変換が可能であるため、水素ガス加圧による水素添加を必要としない触媒の調製とグルタミン酸から2-ピロリドンへの変換反応について検討を行った。 まず、水素ガス加圧による水素添加を必要としない触媒として、Zr系の有機金属構造体(MOF)及び金属酸化物微粒子の調製を行った。その結果、Zr系のMOFはソルボサーマル法により、金属酸化物は沈殿法により、平均粒子径が10μm程度の各固体粉末の調製に成功した。調製した固体粉末はXRD等により、目的である結晶構造が得られたことを確認した。 次に、調製した触媒を用いて、グルタミン酸から2-ピロリドンへの変換反応を実施し、そのプロセスについて検討を行った。当初、グルタミン酸を加熱することによって得られるピログルタミン酸を用い、バッチリアクターで2-ピロリドンの合成を試みた。反応温度400℃、反応圧力24 MPaの高温高圧下反応条件において、調製したZr系触媒を用い変換反応を行った結果、水素ガス加圧による水素添加なしで、ピログルタミン酸から2-ピロリドンを合成することに成功した。触媒使用の有無や反応条件の変更により、2-ピロリドンの選択率が大きく変化した一方で、生成液中の2-ピロリドンの収率はZr系触媒を用いることにより50%を超える結果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書で示した本研究の目的は、水素ガスの加圧供給に代わり水から由来する水素を用いた水素添加機能を持つ触媒を開発するとともに、自然界に豊富に存在するグルタミン酸の活用法を確立し環境調和型かつ実現性のあるプロセスを設計することであった。水素ガス加圧による水素添加をせずにグルタミン酸から2-ピロリドンを合成することが要点と考えていたが、それに対し、400℃、24 MPaの反応条件で水由来の水素を用いた還元反応を進行させることに成功した。今後、触媒種や反応温度、反応圧力の収率への影響や触媒のキャラクタリゼーション、マイクロリアクションの適応等が必要であるが、いずれも基礎となる検討は進められている。以上より、今後の研究を推進方策に従い検討可能な進捗状況であるため、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
以下を基準にして、研究を進める。その際、研究の発展継続性を考慮し、実用化の可能性が高いプロセス構築を優先する。 (1)触媒調製法の検討:微細化する方法について、再度検討を行う。 (2)反応条件の検討:反応に使用する触媒種や反応条件について検討し、変換反応の高効率化を図る。特に、流通式への適応可能性について検討する。また、反応原料としてグルタミン酸を用い、2-ピロリドンがワンポットで合成できるか確認する。
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