レーザープラズマ生成などに代表される多くの高強度レーザー応用は真空中での動作になるが、物質との相互作用領域では10-2Torr以下の真空度が必要になるため、オゾンガス媒質光学素子生成に必要な1気圧のガス密度とは相反する。そこで、真空中に高速パルスバルブでオゾンガスを噴出させ、高密度オゾンを数100usの間のみ局所的に生成させるための技術開発を行った。ただし、真空中では気体は音速で拡散していくので、十分な密度を維持する技術開発が必要になる。本研究では主に以下の2つの開発を行った。 ①ガス流停滞によるオゾン高密度化:ガス噴出部直上にガス拡散を防ぐ遮蔽物を設置し、ガスを停滞させることで瞬間的な高密度ガス領域を生成する手法を試験した。遮蔽物がない場合と比較し、10倍の高密度化が可能になった。 ②高圧オゾン生成:高速バルブで噴出するオゾン濃度は、ガスリザーバーに蓄積している初期のオゾンガス圧の高圧化が必須となる。オゾンは原料酸素ガスにより生成されるが、生成効率は大気圧程度で最大となるため、新しい技術開発が必要になる。そこで、高圧の希ガスを混合した酸素を利用してオゾンを生成し、最大8気圧のオゾンを得ることに成功した。 これらの技術開発を元に、真空中で紫外レーザー光によるオゾンガス光学素子の生成試験を行った。結果、1m^3の領域ではあるものの真空中に高密度オゾンガス領域を生成することに成功し、ガス素子に入射する光が回折可能であることを実験的に示した。
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