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2020 年度 実施状況報告書

キラルブレンステッド酸触媒によるアルケンの不斉移動水素化反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K22515
研究機関北海道大学

研究代表者

辻 信弥  北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任助教 (30873575)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード有機触媒 / 還元 / ブレンステッド酸 / 不斉合成
研究実績の概要

本年度は反応条件の確立および新規触媒骨格の構築に焦点を当て、研究を進めた。
まず反応条件についてモデル基質としてアリール-アルキル二置換アルケンを用いた場合、種々の水素ドナーとキラルブレンステッド酸触媒を検討する事により、目的の還元体が良好な収率で得られる条件を見出した。一方でエナンチオ選択性については、異なる置換基を持った触媒をスクリーニングしてもほぼ全ての場合でラセミ体のみが得られる、という結果が得られた。申請者らの研究室では二量体様の構造を持つ触媒を用いた反応を既に報告しているが、本反応においてそれらの触媒を用いた場合では痕跡量以上の還元体は得られず、アルケンの異性化がみられるのみであった。
この問題を解決するにあたり、触媒の更なる酸性度の向上、および活性中心部位をより嵩高くして反応場をより精密にコントロールすることにより、高い収率およびエナンチオ選択性の両立が出来るのではないか、と考えた。そこで二量体様の嵩高い構造は保ったままに触媒活性部位を変更することにより、酸性度を上げた触媒を新たにデザイン・合成し、新規触媒ライブラリを構築した。それらを検討した結果、目的の還元体が良好な収率および10%程度と低いが再現可能な鏡像体過剰率で得られる条件を見出した。この結果は基質が純粋な炭化水素であることを考えれば、十分に本戦略の有効性を示しているといえる。
これまでに得られた結果を基に、置換基および水素ドナーの構造を種々検討を行うことにより、目的の反応を良好なエナンチオ選択性で進行させることが可能になると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

種々の水素ドナーおよびキラルブレンステッド酸触媒を検討した結果、アルケンの異性化やポリマー化を抑えて目的の還元体を良好な収率で得ることに成功した。
また、触媒活性部位を変更することにより、より優れた反応性・選択性を持つ触媒のデザイン及びライブラリ構築に成功した。そしてその触媒が目的の反応を良好な収率および有望なエナンチオ選択性で進行させる事を見出した。
鏡像体過剰率はまだまだ満足のいく数字ではないものの、以上より概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

現在1-ナフチル基を置換基に持つ触媒で最も優れたエナンチオ選択性が得られていることから、更なる触媒ライブラリの拡大・スクリーニングを行う事で収率および選択性を向上させる事が出来ると考えている。それと同時に水素ドナーの構造についても詳細な検討を行う予定である。また計算化学を用いた遷移状態計算・およびその構造から最適な触媒デザインのためのヒントが得られるとも考えているため、現在遂行中である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は基本的に一つの基質を用いて検討を行ったが、その際には1本目に購入したキラルカラムでうまく分離することが出来た。しかしながら更なる検討を行う上で必ず異なる分離条件が必要になるため、次年度に当初の予定通り追加のキラルカラムを購入する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [国際共同研究] マックスプランク石炭化学研究所(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      マックスプランク石炭化学研究所
  • [雑誌論文] Strong and Confined Acids Catalyze Asymmetric Intramolecular Hydroarylations of Unactivated Olefins with Indoles2021

    • 著者名/発表者名
      Zhang Pinglu、Tsuji Nobuya、Ouyang Jie、List Benjamin
    • 雑誌名

      Journal of the American Chemical Society

      巻: 143 ページ: 675~680

    • DOI

      10.1021/jacs.0c12042

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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