研究課題
研究活動スタート支援
まずは1,4-シクロヘキサジエンを水素ドナーとして用いた反応では、IDPi触媒を用いても目的の反応は殆ど進行しなかった。一方で、今回新たに開発した触媒を用いると良好な収率で目的物が得られたものの、エナンチオ選択性は不十分なものであった。そこで分子間反応から分子内反応へと転換することにより、水素移動反応が非常に高い収率で進行し、また中程度のエナンチオ選択性が得られることが分かった。現在本反応について更なる検討を行っている。
有機化学
不斉配位子と遷移金属触媒によるアルケンの不斉変換反応は、産業的にも非常に多く用いられている重要な化学変換工程である。しかしながら、こういった反応ではパラジウムやイリジウムといった高価で環境負荷の高い遷移金属触媒が必要となることから、不斉有機分子触媒を用いることで、これまでの戦略と相補的な手法が開発できるのではないかと考えた。今回の研究成果において、炭化水素化合物という通常は選択的変換が難しい基質に対し、有機触媒を用いることで、ある程度の選択性が誘導できることを見出した。