研究課題/領域番号 |
20K22551
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大須賀 遼太 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30874250)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 金属含有ゼオライト / 活性点制御 / 精密構造解析 / メタン酸化的改質反応 |
研究実績の概要 |
本年度は、Al原子位置を制御したMFI型ゼオライトを中心にRhイオン交換処理を行い、メタンの酸化的改質反応に対する触媒反応活性評価を行った。具体的には、次の2つのことを中心に検討した。(1)Rhイオン交換処理時の塩化ロジウム水溶液濃度や時間・温度の最適化、(2)得られたサンプルのCO吸着IR測定によるRh種の状態の評価。 Rhイオン交換時の溶液の濃度を変えて調製した触媒の反応活性を評価したところ、目的生成物であるCOの収率は、イオン交換時の溶液の濃度に対して山なりの挙動を示した。最もCO収率が高くなったのは、0.01 mol/Lで処理したサンプルであったため、このサンプルについて詳細な検討を行った。MFI型骨格の広い空間にAlが存在する試料(MFI[TPA])と狭い空間にAlが存在する試料(MFI[TPA,Na])を合成し、それぞれにRhイオン交換処理を施した結果、Rh-MFI[TPA]の方が高いCO収率を示すことが分かった。また、触媒寿命についてもRh-MFI[TPA]の方が長寿命であった。 上記の結果を踏まえ、各サンプルのRh種の状態解析を行うために、CO吸着IR測定を行った。活性の高い試料と低い試料を比較すると、活性が高い試料では、Rh酸化物クラスターの存在が確認され、比較的活性の低い試料では、Rhカチオンが多いことが明らかとなった。また、Rh導入量が異なるサンプル間での比較を行っても、同様の傾向が観られた。したがって、本反応系では、MFI型骨格の広い空間に生成したRhオキサイドクラスターの方がRhカチオンよりも高い活性を示すと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、ゼオライト合成とRhイオン交換条件の最適化、Rh種の状態解析について検討していく予定であった。実際に、Rhイオン交換時の溶液濃度の最適化を行うことができており、種々のサンプルのRh種の状態解析も検討済みである。一部のサンプルについては触媒反応活性評価まで実施してあり、次年度の研究計画を円滑に進めるための知見が得られていることから、おおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上述した通り、MFI型骨格の広い空間にAl原子が存在するMFI型ゼオライトにRhイオン交換処理を施すことで、Rhオキサイドクラスター種が生成し、本反応系に対して高活性な触媒となることが明らかとなった。次年度以降は、Rhカチオンとオキサイドクラスター(酸化物)のモデル触媒を構築し、触媒反応活性評価を行う。また、双方の活性サイトの構造解析を行うことで、真に活性なサイトについて明確にする。あわせて、より高活性な触媒を設計するためのゼオライト合成に着手する。特にAl原子位置を制御したCHA型ゼオライトを合成し、その構造解析、触媒活性評価を行うことで、本触媒反応系の知見を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、参加予定であった学会の中止および所属機関からの出張自粛要請等があり、当該予算の執行ができなかった。また、コロナウイルス感染症対策に関する所属機関の方針により、在宅ワークが増えたことで、実験用消耗品の予算執行額が計画よりも少なくなってしまった。そのため、次年度繰り越しとし、必要な消耗品の購入費用や旅費として、適切な予算執行に努める。
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