環境制御によって連続開花結実性を誘導し,果実の周年生産・高収量化ができることがブルーベリーにおいて明らかになっている.植物工場は高度な環境制御と生育予想により,季節や天候に左右されずに作物の周年・計画生産ができるが,単位面積あたりの生産効率を高めることが求められる.そこで本研究では,植物工場の果樹栽培で,樹冠の小さな植物体に早期に開花結実させる草本的生産法の開発のための基礎資料を得ることを目的とし,環境制御による開花結実誘導の知見があるブルーベリーにおいて,挿し木を用いた超早期開花結実苗の育成方法を検討した. 具体的には,挿し木床の培地環境が発根に及ぼす影響,また,気温,日長,光質が挿し木苗の新梢成長および花芽分化に及ぼす影響,さらに,穂木の生育ステージが発根および花芽形成,新梢成長に及ぼす影響を調査した.. 2020年度は,培地の種類が発根に及ぼす影響を調査した.その結果,慣行的に使用されるピートモス培地だけでなく,人工培地でも発根でき,培地の素材よりも団粒構造などの物理的構造が発根率に影響することが推察された.また,穂木の生育ステージが発根に及ぼす影響を調査した結果,花芽分化した穂木でもカルス形成は可能であった. 2021年度は,花芽分化した穂木からの発根が可能か環境条件を検討した.また,光と大気環境が挿し木の成長に及ぼす影響を調査した.その結果,植物ホルモンの利用によって発根率は増加したが,花芽分化が進展するほど発根率は低下した.また,挿木1年苗でも環境制御によって連続開花結実性を誘導できた.
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