研究課題/領域番号 |
20K22588
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
市田 健介 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70882637)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | A型精原細胞 / 生殖細胞移植 / 細胞表面抗原 / 魚類 |
研究実績の概要 |
代理親魚技術の実用化を目指し、A型精原細胞をユニバーサルに“見える化”する技術の樹立をするために、A型精原細胞の細胞表面抗原抗体が認識する抗原分子の同定に着手した。まずは本抗体が認識するタンパク分子の可視化を目的としたウェスタンブロッティングを行った。タンパク質調整法および様々な条件での検討を行った結果、ウェスタンブロットに供した2抗体双方において、85kDaの分子量の明瞭なシグナルを得ることに成功した。さらにそもそも本抗体が認識する抗原がタンパク質であるのか糖鎖であるかを判断するために、Nグリコシダーゼ、Oグリコシダーゼを用いて抗原を処理したのち、同条件によるウェスタンブロットに供した。その結果、Nグリコシダーゼで処理した区は明瞭なシグナルの分子量の遷移が見られたのに対し、Oグリコシダーゼで処理した区においてはシグナルの遷移は見られず、いずれの試験区においてもシグナルの消失は見られなかった。すなわち、本抗体が認識する抗原分子は糖鎖ではなくタンパク質を認識する可能性が高いことが示唆された。 そこで、本抗体が認識する抗原分子を濃縮しプロテインシークエンスに供することによる抗原分子の同定を目指して、本抗体を用いた免疫沈降を複数の条件で行ったが、本抗体による抗原タンパクの濃縮は確認できなかった。今後は本抗原を濃縮可能な免疫染色条件の探索を行うとともに、2次元電気泳動による抗原の単離を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年の研究において、様々な条件検討を行った結果ウェスタンブロッティングにより明瞭なシグナルを検出することに成功した。またグリコシダーゼ処理により、本抗原がタンパク質である可能性が高いことが明らかとなった。本抗体が認識する抗原分子は明らかとなっていないため、どのような条件下においてウェスタンブロッティングでのシグナルが得られるか不明であったが、一連の研究により本抗原のシグナルの検出に成功した。本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本抗体が認識する抗原の同定するために、免疫沈降および2次元電気泳動により抗原の単離、濃縮を行いプロテインシークエンスを行う。抗原が明らかとなったら、本抗体が本当にその抗原分子を認識しているかの解析および抗原の発現解析を行う予定である。さらに、様々な魚種における見える化技術を樹立するために、本抗原の保存領域に対しての抗体を作成し、各魚種に対しての応用を実施してゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では昨年度中に抗原タンパク質の同定を委託する予定であったが、抗原タンパク質の検出の条件検討に時間がかかってしまったため当初予定していた委託を行わず、一連の実験が今年度への繰り越しとなった。
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