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2021 年度 実施状況報告書

汎熱帯規模での植物を介したケイ素循環の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K22590
研究機関京都大学

研究代表者

中村 亮介  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (10881443)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2023-03-31
キーワード植物ケイ酸体 / 熱帯林 / 生物多様性 / 物質循環 / 土壌風化 / 新熱帯
研究実績の概要

本研究の核心をなす「問い」は「強い土壌風化でケイ素を失っている熱帯林において、樹木はどうやってケイ素を持続的に利用しているのか?」である。この機構の一つに、植物を介したケイ素循環の存在が挙げられる。本研究は汎熱帯規模での植物を介したケイ素循環の解明を目的とし、中南米の熱帯を中心に異なる空間スケール(森林群落内-群落間)で解明に取り組む。これまでの2年間の研究では、研究対象地とした中米パナマから樹木の落葉試料を正規の手続きを履んで輸入し、対象とする熱帯林に生育する樹木落葉のケイ素濃度の多様性を調べた。予想していた通り、東南アジアの熱帯林と同様に、パナマの熱帯林においても落葉のケイ素濃度が樹木種間で大きく異なることがわかった。先行研究で調べられていた同じパナマの熱帯林樹木の生葉のケイ素濃度と比較したところ、強い相関を示した。また落葉のケイ素濃度の方が、生葉のケイ素濃度よりもほぼ一貫して高いことがわかった。これは生葉に集積したケイ素が、落葉となって水の輸送が断たれるまで、転流されることなく一方通行的に葉に集積することを示している。各樹木の年間落葉生産量のデータと合わせて、森林全体での植物を介したケイ素循環量を計算したところ、その値はこれまで東南アジアで研究をおこなってきた熱帯林と比較して同等であることがわかった。これはパナマにおいてもケイ素を積極的に吸収、蓄積する樹木が多数存在していることに起因している。令和4年度はコロナの影響によってこれまで不可能となっていた現地調査を実施し、土壌からのケイ素可給性との関連を調べるため、現地での土壌採集および水抽出ケイ素の定量を実施する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

長引く新型コロナウイルスの世界的大流行により、調査渡航が困難な状態が続いている。カウンターパートであるスミソニアン熱帯研究所の協力のもと、当初予定していた幾つかのサンプルについてはケイ素分析が完了しているが、以前として現地で分析が必要な土壌試料の分析は進んでいない。

今後の研究の推進方策

令和4年度は長期でパナマに滞在することで、本研究計画を推進することにしている。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度に長期滞在での現地調査を予定しており、調査にかかる費用を支払うために次年度使用額が生じた。来年度の長期滞在で使用する計画がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Smithsonian Tropical Research Institute(パナマ)

    • 国名
      パナマ
    • 外国機関名
      Smithsonian Tropical Research Institute
  • [学会発表] Diversity of leaf silicon accumulation and its contribution to silicon flux via leaf litter in Panamanian lowland forests2021

    • 著者名/発表者名
      Ryosuke Nakamura, S. Joseph Wright, Kaoru Kitajima
    • 学会等名
      第31回日本熱帯生態学会(オンライン大会)
  • [備考] Smithsonian Tropical Research Institute

    • URL

      https://stri.si.edu

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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