研究課題
哺乳類をはじめとした高等脊椎動物がもつリンパ節は、免疫細胞が抗原と効率的に出会い、抗原に特異的な免疫応答が活性化される(抗原特異的な抗体産生が誘導される)部位として重要である。魚類においても抗原特異的な抗体は産生されるが、リンパ節を持たない魚類では、どこで特異的抗体産生が誘導されるのか不明であった。それゆえ、ワクチン接種や感染時にどのような機序で免疫応答が誘導されるのか解っていなかった。高密度に飼育される魚類養殖ではワクチンを用いた感染症予防が重要であるが、抗体産生機序が十分に明らかとなっていないことが問題となっている。本研究では、感染やワクチン接種といった免疫刺激に対して、魚類の特異的抗体が「どこで」、「どのように」産生されるかを明らかにすることを目指し、研究を実施している。研究二年目は、免疫刺激・感染時に出現する免疫クラスターに出現する抗体産生細胞の特徴について解析した。その結果、免疫クラスター内の抗体産生細胞は他の部位と比べて活発に増殖していた。免疫クラスターに出現する抗体産生細胞は、抗原に特異的な抗体を産生していることが解った。また、その抗原特異的抗体産生細胞たちは、共通の母細胞に由来していることが示唆された。これらより、抗原の刺激を受けた抗原特異的細胞が、時間の経過とともに、増殖を重ねながら免疫クラスターを形成し、抗原特異的抗体の産生の場となるという抗体産生メカニズムの一端が見えてきた。
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Fish and Shellfish Immunology Reports
巻: 3 ページ: 100049
10.1016/J.FSIREP.2021.100049
Fish and Shellfish Immunology
巻: 114 ページ: 20-27
10.1016/j.fsi.2021.04.009