研究課題/領域番号 |
20K22595
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
秋田 寛己 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 特別研究員 (60880820)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 生産土砂 / 斜面崩壊 / 土石流災害 / 地質 / 衛星画像 |
研究実績の概要 |
研究背景としては、崩壊生産土砂量は崩壊面積を因子とした累乗式による推定手法が広く用いられているが、地質ごとの違いや関数形の妥当性についてはあまり議論されていない。一方、近年レーザープロファイラ計測による詳細地形データが整備・蓄積され、土砂量の推定精度も向上してきている。本研究は、地質の異なる山地において、土石流災害発生前後の詳細地形データを用いて標高値の変化量を求めることで、崩壊面積と崩壊深・崩壊生産土砂量との関連性を明らかとし、推定式の適用性を検証することを目指している。 令和2年度は対象地域を定め、研究に使用する高精細な衛星画像や詳細地形データを収集した。その上で土石流災害発生前後の崩壊地内の標高値の変化量を求め、崩壊生産土砂量を計算し、2種類の地質ではあるが、それらの推定式を示した。 対象地域は、いずれも平成26年8月豪雨で土石流災害が発生した広島県広島市安佐北区・安佐南区(以下、広島地域)と、兵庫県丹波市市島町及び氷上町(以下、丹波地域)とした。地質は、広島地域が白亜紀後期の広島花崗岩類の黒雲母花崗岩及び角閃石黒雲母花崗岩であり、丹波地域が二畳紀~ジュラ紀の丹波帯丹波層群の頁岩及び砂岩頁岩互層である。 これまでの結果として、いずれの地質でも崩壊面積が大きくなるにつれ、崩壊深が増加する傾向が見られ、その増加率は丹波帯の方がかなり大きいことがわかってきた。崩壊生産土砂量は崩壊深と崩壊面積の積であるため、推定式を設定する際には、地質により異なる崩壊深に注意する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象地域の崩壊地抽出作業とGISデータ作成作業は概ね終わり、崩壊生産土砂量の解析結果を考察・議論する段階に入っている。研究成果は、令和3年度砂防学会研究発表会(2021年5月20日~21日開催)で報告する。なお、解析結果の一部は第39回日本自然災害学会学術講演会(2021年3月20日開催)で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
他の地域で構築された崩壊生産土砂量の推定式(例えば、Guzzetti et al.,(2009)など)と、本研究で構築する推定式を地質の違いに着目して比較し、適用性を検証する。その上で、推定手法を実用化する際の課題を整理する。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象地域の詳細地形データを国土地理院や自治体から貸与できたため、当初予定していた物品費が減少した。地質の異なる対象地域を拡大し、高精細衛星画像や詳細地形データの購入を計画することで、研究の一層の推進のために使用する。
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