研究課題/領域番号 |
20K22602
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
大倉 芙美 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 任期付研究員 (10880297)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 水利用 / 水田灌漑 / エージェントベースモデル |
研究実績の概要 |
2020年に引き続き2021年度も渡航制限が続いたため、農家への聞き取りや用水路での流量観測の準備を、現地で実施することができなかった。しかし、聞き取り調査は、農家による水管理の仕組みを理解するために、また流量観測は、水利組合単位の配水量を把握するために必要不可欠であった。そこで、現地にいるカウンターパートに流量観測を依頼、観測機器を送り、ウェブ会議やメールで複数回打ち合わせをしながら、観測機器の設置方法の検討を重ね、年度の後半には設置を完了し、観測を開始した。現在、流量観測を継続中である。 また、2021年度には、水資源の配分量やイネの収量に加え、水配分に影響を与える社会学的側面も考慮してエージェントベースモデルを開発し、シナリオ分析を行った研究論文を投稿した。社会的要因の変化により、水資源の配分量やタイミングが変化することで、地域レベルや農家集団レベルで、どのように収量が変化するか、シナリオを用いて分析した。本投稿論文は現在査読中であるが、この投稿論文によって、水配分において、社会的要因を考慮する必要性を示すことができた。また、本研究では、新たな水配分計画案を作り出すため、エージェントベースと進化的アルゴリズムを組み合わせたモデルを開発するが、水配分問題におけるエージェントベースモデルの活用方法や、分析結果の解析方法を検討することができ、エージェントベースモデルと進化的アルゴリズムを組み合わせたモデル作りの準備ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地へ行けなかったことから、観測開始が遅れた。この影響を受け、意思決定支援ツールの開発も遅れている。しかし、ツールを使った分析の準備が2021年度に進められたことで、観測データが揃えば、ツール開発とツールを用いた分析は円滑に進むと予想している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、流量観測を継続し、回収した観測データを元に、エージェントベースモデルと進化的アルゴリズムを組み合わせた意思決定支援ツールを開発し、新たな水配分計画案の作成、また、シナリオ分析を予定している。また、農家への聞き取りは、データの回収等で渡航時に実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
渡航ができなかったことから、流量観測や聞き取り調査が実施できず、研究計画よりも遅れたことで、次年度使用額が生じた。2022年度は、渡航制限や入国制限が緩和していることから、聞き取り調査等を行うための現地への渡航費と論文投稿料に利用する計画である。
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