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2020 年度 実施状況報告書

開水路の伸縮挙動を再現した水中疲労試験による目地補修材の接着耐久性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K22603
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

森 充広  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, ユニット長 (70414456)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワードコンクリート開水路 / 目地 / シーリング材 / 接着耐久性 / 疲労試験
研究実績の概要

本研究では,目地補修材を対象に,コンクリート面との接着耐久性を評価する水中疲労試験の提案と早期はく離の原因究明を目的としている.今年度は,水中での疲労試験を可能にするための治具の整備,試験の試行,試行に基づく試験治具の改良など,室内における試験方法の仕様を決定するための室内実験を主に実施した.さらに,茨城県内で現地施工され11年を経過した目地補修材の追跡調査を実施し,この材料に関して気中および水中環境での疲労試験を実施し,水の存在とはく離との関係を整理した.
試験治具の整備においては,JIS A 1439の規格に基づいた試験治具とその治具に固定した供試体の全体を循環恒温水中に浸し,その環境で,引張-圧縮を繰り返し実施できる水槽を整備した.さらに,同規格に規定されるコンクリートとアルミを被着体とした目地材の厚み12mmの供試体を作製し,気中及び水中環境下において疲労試験を実施した.疲労試験では,これを0.1Hz(一部0.2,0.3Hz)の速度で±2.4mm変形(一部±3.0mm,±3.6mmも試行)させ,そのときに発生する荷重と疲労サイクルとの関係を調べた.変成シリコンを対象とした試験では,気中では60,000回以上の引張-圧縮サイクルではく離が生じない供試体でも,水中では3,822回でわずかにはく離が発生し,それが一気に進行してはく離に至るなど,気中よりも水中環境での試験において,早期はく離の傾向が見られた.
また,現地調査では,施工当初の性能で50%モジュラスが0.5N/mm2以上の比較的硬めの目地補修材では,水中部でのはく離が顕著であった.また,これらの材料について気中,水中での疲労試験を実施したところ,水中での試験で早期に付着力が低下する傾向が見られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初,目地補修材の性能を厳密に評価するために,被着体として不均質なモルタルではなく,均質なアルミを用いた.しかし,施工が容易な一液型で供試体を作製したところ,アルミ被着体では,スペーサーとの接触面で硬化が進まず,一定品質の供試体が作製できなかった.また,気中部の疲労試験においては,0.1Hzの速度の試験ではく離に至るまでに80,000回(9日以上)を有するなど,試験に要する時間が予想以上にかかったため,計画と比べるとやや遅れている.

今後の研究の推進方策

次年度は,シリコン,変成シリコン,ウレタンを主成分とする供試体において引き続き水中,気中環境下での疲労試験を継続し,どのような主成分の材料が水中環境下において性能を発揮しやすいのか,また,現状の品質規格において,水中環境下でのはく離に関係する要因が何かを明らかにする.これらの結果に基づき,水中での早期はく離の要因解明や,目地補修材の有すべき性能を明らかにする.
なお,遅れの原因となった供試体の作製および試験については,十分な精度で変位を制御できる0.2Hzに速度を速めた試験や,養生温度の変更,被着体の変更により,改善を図る.

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルスの蔓延等により,出張計画を見直し,調査は茨城県内に限定したことから,旅費相当額が減少し,当該助成金が生じた.
本年度茨城県内で調査した目地補修材の試験施工現地が滋賀県,静岡県にもあるため,当該助成金はこの現地調査の出張調査費に利用する.

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公開日: 2021-12-27  

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