本年度は、昨年度に引き続き、原料混合槽における原料貯留日数の違いが、原料の分解性およびバイオガスの生成に及ぼす影響を把握するための試験を行った。昨年度よりも貯留日数を長く設定するとともに、分解性が低い食品廃棄物がより高い割合で原料に含まれる場合について検討を行った。試験には、昨年度と同じく原料混合槽から採取した試料に、集排汚泥と食品廃棄物の重量比1:1混合物を全体の1/10量となるように添加し、嫌気条件、20℃、100rpmで、0、3、7、10、14、21日間貯留し、各試料のTS、VS、有機酸濃度等を測定した。食品廃棄物は、模擬生ごみとコーヒーかすもしくは緑茶かすを、それぞれ、VS比1:3となるように混合したものを用いた。これらについて、中温条件で回分式メタン発酵試験を行い、各試料のバイオガス生成率を求めた。 試験の結果、いずれの原料を用いた場合も、貯留日数の増加に伴い、TSおよびVS濃度の減少(それぞれ、21日間で14~17%および16~19%)と乳酸濃度の減少(21日間で約70%)および酢酸濃度の増加(95~150%)がみられた。また、回分式メタン発酵試験による投入VSあたりのバイオガス生成量は、いずれの原料を用いた場合も貯留日数の増加に伴い大きくなったが(21日間の貯留による増加率は、コーヒーかす混合原料では約17%、緑茶かす混合原料では約25%)、投入原料(湿重)あたりのバイオガス生成量はほとんど変わらなかった。 以上より、集排汚泥と食品廃棄物(VS量で生ごみの3倍程度までのコーヒーかすや緑茶かすを含有)の重量比1:1混合物を原料とした場合、20℃で、原料混合槽における貯留日数が21日程度までは、貯留日数の増加が原料の分解性の向上や投入VSあたりのバイオガス生成量の増加に寄与するとともに、投入原料あたりのバイオガス生成量を減少させないことが示された。
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