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2020 年度 実施状況報告書

PAR2制御による癌内交感神経を標的とした新規癌治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K22607
研究機関東京大学

研究代表者

梶 健二朗  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (60884252)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワードPAR-2 / 腫瘍内神経 / エクソソーム / miR34a
研究実績の概要

本研究はPAR-2シグナルが腫瘍細胞からのエクソソーム内miR-34aの減少を介して腫瘍組織内への神経浸潤を促進するか検討することを目的とする。
まず、PAR-2が腫瘍内への神経浸潤に関与しているか検討するために、PAR-2を発現する肺がん細胞株LLCを移植した担癌モデルマウスにPAR-2阻害剤を投与したところ、溶媒群と比較して有意に腫瘍組織内への神経浸潤が抑制されることが確認された。これらの腫瘍内神経の種類を検討するために交感神経マーカーであるチロシンヒドロキシラーゼおよび副交感神経マーカーであるアセチルトランスフェラーゼを用いて免疫染色したところ、両者とも陰性であった。
次に、PAR-2シグナルが腫瘍細胞から放出されるmiR34aに与える影響を検討した。LLC細胞に対しPAR-2アゴニストを添加した際の細胞中およびエクソソーム中のmiR-34a発現の変化を定量的PCRを用いて検討したところ、腫瘍細胞中のmiR34aはコントロール群と比較して有意に減少していた。一方で、腫瘍細胞から放出されたエクソソーム中のmiR-34aは減少する傾向は認められたが、有意差は認められなかった。
また、miR34aの減少したエクソソームが実際に神経細胞の成長に影響を与えるか検討するためにマウスより神経細胞を単離する必要がある。そこで、マウスの後根神経節より神経線維を採材し、神経細胞体の単離を試みたところ実験に使用可能なレベルで神経細胞の単離を行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度に計画していたPAR-2シグナルと腫瘍内神経浸潤との関係を担癌モデルマウスを用いて明らかにすることができた。一方で、腫瘍内神経の種類およびその起源に関してはさらなる検討が必要である。また、LLC細胞を用いた検討により、PAR-2が腫瘍細胞より放出されるエクソソーム中のmiR-34a減少に関与している可能性も示唆された。

今後の研究の推進方策

腫瘍内に浸潤した神経の種類およびその起源を明らかにするために、より詳細な自律神経や感覚神経のマーカーを用いた免疫染色を実施する予定である。また、腫瘍細胞のPAR-2刺激により放出されたmiR34aの減少したエクソソームが実際に神経細胞に影響を与えるか検討するために、PAR-2刺激を行ったLLC細胞の培養上清をマウスより単離した神経細胞に添加した際の神経マーカーの変化および神経突起の伸長を評価する。

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公開日: 2021-12-27  

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