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2020 年度 実施状況報告書

胚体外細胞系譜を規定するヒト特異的Hippo-YAPシグナルの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K22615
研究機関東北大学

研究代表者

柴田 峻  東北大学, 医学系研究科, 助教 (40885670)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワードHippo-YAPシグナル / ES細胞 / TS細胞 / 胚体外系譜
研究実績の概要

ヒト受精卵から、内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)に細胞系譜は分離し、胚盤胞が形成される。マウスの場合、ICMとTEの細胞運命決定におけるHippo-YAPシグナルの関与が知られている。しかしヒトの場合、Hippo-YAPシグナルの関与を含め、ICMとTEの運命決定機構の詳細は明らかでない部分が多い。本研究では、ヒト胚性幹(ES)細胞や栄養膜幹(TS)細胞、さらには、ヒトES細胞よりTS細胞に分化転換したモデル細胞(ES-TS細胞)を活用し、ヒト初期胚の運命決定機構におけるHippo-YAPシグナルの役割について詳細な検討を行う。マウスとの相違点を明らかにし、胚体外系譜や胎盤発生における種特異性と保存性の解明を目指す。
マウス胚盤胞(E3.5)におけるYAPの局在を解析したところ、先行研究と合致し、ICMにて細胞質、TEにて核にYAPが局在することを確認した。次に、着床前胚ICMに相当するヒトナイーブ型ES細胞の樹立を行い、ヒトナイーブ型ES細胞およびヒトTS細胞について、細胞内のYAPの局在解析を行った。YAPは、ナイーブ型ヒトES細胞では核および細胞質に、ヒトTS細胞では主に核に局在した。次に、ES-TS細胞分化転換過程におけるYAPの局在を解析したところ、GATA3強陽性細胞において、YAPの核移行が顕著であった。YAPは、核内にて転写因子TEADと複合体を形成することで標的遺伝子の転写活性化に寄与することが知られる。ヒトTS細胞において、YAP-TEAD相互作用を阻害する低分子化合物であるVerteporfin(VP)の処理による表現型を解析したところ、VPの濃度依存的にヒトTS細胞の細胞増殖が抑制された。また、TS細胞マーカー遺伝子の発現低下を認めた。以上により、ヒト胚体外系譜細胞であるES-TS細胞やTS細胞において、YAPの核内での機能が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、初期胚構成細胞であるES細胞とTS細胞およびES-TS細胞について、そのYAPの発現様式(局在)を明らかにした。ヒトTS細胞において、自己複製と胚体外系譜遺伝子発現において、YAPの転写共役因活性の必要性が示唆された。

今後の研究の推進方策

今後、ヒトES細胞およびTS細胞の両者において、YAPの発現を制御する試験系を構築し、Hippo-YAPシグナルの胚体および胚体外系譜での役割や機能について検討する。また、それぞれの細胞について、YAPの標的遺伝子や相互作用分子を同定する。また、ヒトES細胞からTS細胞への分化転換に対して、YAP発現様式と発現量が与える影響を解析する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Unique features and emerging in vitro models of human placental development2020

    • 著者名/発表者名
      Shibata Shun、Kobayashi Eri H.、Kobayashi Norio、Oike Akira、Okae Hiroaki、Arima Takahiro
    • 雑誌名

      Reproductive Medicine and Biology

      巻: 19 ページ: 301~313

    • DOI

      10.1002/rmb2.12347

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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