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2020 年度 実施状況報告書

タイトジャンクション形成と透過制御の構造基盤解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K22623
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

中村 駿  東京医科歯科大学, 高等研究院, プロジェクト助教 (80882779)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワードタイトジャンクション / クローディン / 構造生物学
研究実績の概要

本研究は、タイトジャンクション構造基盤を解明し、その透過制御を可能とするモジュレータの創製を目指している。本年度は、構造解析に向けた実験および変異体を用いたクローディンとC-CPEの相互作用解析を進めた。研究開始時に、構造が未解明であるクローディンのサブタイプについて結晶が得られていたため、その結晶性を高めることを期待してC末領域を欠失したコンストラクトを作製した。このコンストラクトについて、発現および精製を良好に行うことができ、結晶化を行い、X線回折実験を進め、野生型の結晶よりも分解能を改善することができた。また、研究代表者がこれまでに明らかにしたクローディン3とC-CPEの複合体構造の情報を基にして変異体を作製し、クローディンとC-CPEの相互作用に重要なアミノ酸残基の探索を行い、結合親和性を決定するクローディン上の2か所のアミノ酸残基を同定した。この2か所のアミノ酸残基の側鎖の大きさや電荷がC-CPE親和性を決定することを明らかにした。さらに、C-CPEが結合できないクローディンサブタイプのこの2か所のアミノ酸残基を、C-CPEが結合できるサブタイプでみられるアミノ酸残基に置換することにより、C-CPEが結合できるよう変化することを確認した。すなわち、これらの箇所における相互作用が重要であるため、この領域のC-CPEのアミノ酸残基の改変によって、特定のクローディンサブタイプに対する親和性を高めることができることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

構造が未解明であるクローディンのサブタイプについて、構造解析に向けた実験を進め、回折データの分解能を改善することができた。すなわち、改変したコンストラクトについて、発現系の構築、精製、結晶化を順調に行うことができ、結晶化条件の最適化を進めることによって野生型の結晶よりも良い分解能が得られた。また、変異体を用いた相互作用解析について、既知の構造情報を利用することによって効率的に進めることができ、2つの領域における相互作用が重要であることを明らかにし、特定のクローディンサブタイプへの親和性を高めるようにC-CPEを改変する指針を得ることができた。

今後の研究の推進方策

クローディンサブタイプの新たな立体構造を明らかにすることは、クローディンサブタイプ間で異なるバリア形成やC-CPE親和性に関する構造情報が得られるため重要である。現在結晶が得られているクローディンサブタイプの構造を決定するためには、さらに分解能を改善する必要がある。回折斑点のパターンから精製時に用いたバッファーの組成が起因することが示唆されたため、今後、さらに精製条件及び結晶化条件を最適化して回折実験を行う。また、まだ結晶が得られていないクローディンサブタイプも含めコンストラクトを再検討して結晶化スクリーニングを行う予定である。C-CPEの改変を進めるために、今回明らかとなった結合に重要な2領域について、C-CPEのアミノ酸残基を置換して特定のクローディンサブタイプへの親和性を高めるようなアミノ酸残基を探索する。

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公開日: 2021-12-27  

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