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2021 年度 実績報告書

ゴーストを用いたアーキアべん毛モーター化学・力学エネルギー変換機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K22640
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

木下 佳昭  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (30879846)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワードアーキア / べん毛 / 回転運動 / ATP駆動型モーター / ゴースト / ビーズアッセイ / ステップ状回転
研究実績の概要

アーキアは真核生物・バクテリアと共に生物界を構成する生命体である。一部のアーキア は遊泳運動を示すことが知られており、この運動はアーキアべん毛という分子機械の回転運動により駆動される。アーキアべん毛はバクテリアべん毛とは遺伝子的な相同性がなく、エネルギー源に関しても、ATP駆動型の回転モーターであること示唆されていた。我々は生体内反応を外部より制御できるゴーストという手法を考案し (Kinosita et al., PNAS, 2020)、ATP溶液を添加することで、アーキアべん毛の回転速度の外部制御に成功した。この方法を用いることで、化学状態を伴った仕事を様々な条件で定量化できる。

本研究の目的は回転ステップの検出により、アーキアべん毛の化学・力学エネルギー変換機構の理解である。すなわちATP加水分解反応中のATP結合、加水分解、生成物放出といった反応素過程ごとの回転角度を決定し、化学反応と力学的な運動との共役スキームを完成させることを目指した。この目的を達成するために、まず、ATP加水分解の遅くなる生細胞を用いて、回転運動を観察した。回転速度は野生株に比べて約200倍遅く、野生株の運動では見られないステップ状回転を観察出来た。ステップ解析した所、ステップ間の大きさは60度であった。この周期性は6量体のATPaseに由来すると考えられ、他のF1-ATPaseの様な回転モーターと同様に、触媒サブユニットの周期構造を反映したステップ運動である。次に、この変異株をゴースト処理を行い、様々なATP条件下で回転運動を観察した。その結果、ATP濃度の低下と共に、ステップの待ち時間は伸び、頻繁にバックステップを検出できた。現在、追加実験を行っているところであり、今年度中に化学・力学変換のスキームを決定できる。将来的に、他のATPaseとの回転運動の特異性・普遍性を議論したいと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 蛍光イメージングで見えてきた大腸菌の異なる運動様式2021

    • 著者名/発表者名
      木下 佳昭、曽和 義幸
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 61 ページ: 316-320

    • DOI

      10.2142/biophys.61.316

    • 査読あり
  • [学会発表] 高度好塩菌アーキアの回転モーターにおける化学走性2021

    • 著者名/発表者名
      木下 佳昭、渡邉 力也
    • 学会等名
      第59回日本生物物理学会
  • [学会発表] ゴーストと歩んだ10年間2021

    • 著者名/発表者名
      木下 佳昭
    • 学会等名
      第47回日本生体エネルギー研究会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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