研究課題/領域番号 |
20K22647
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 (2023) 東京大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
米代 武司 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40724167)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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キーワード | エネルギー消費量 / 褐色脂肪組織 / 分岐鎖アミノ酸 / インスリン抵抗性 / トランスポーター |
研究成果の概要 |
本研究では、新規ミトコンドリアBCAAトランスポーターSLC25A44が褐色脂肪組織(BAT)の機能と耐糖能制御に与える影響を調べた。全身性SLC25A44欠損マウスでは体重の変化がないにも関わらず、血中BCAA濃度の上昇と耐糖能異常が認められた。BAT特異的欠損SLC25A44マウスではBATの熱産生が障害された。BCAA代謝運命解析から、BCAAのアミノ基がインスリン感受性に関与するグルタチオンの合成に使われることが判明した。ヒトの血中グルタチオン濃度は寒冷刺激によりBAT活性依存的に上昇した。以上から、BCAAはエネルギー消費依存的、非依存的に耐糖能を制御することが示唆された。
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自由記述の分野 |
代謝学、生理学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肥満や糖尿病患者では血中BCAA濃度が上昇することから、その因果関係が盛んに研究されているが、全容解明には至っていない。最近我々は、BATにおいてBCAAが活発に代謝分解されること、これを障害したマウスでは強いインスリン抵抗性が認められることを報告した(Nature 2019)。しかし、BATではグルコースや脂肪酸が主な基質となるため、BCAAの利用を止めるだけでなぜ顕著な耐糖能異常にまで至るのかは不明なままであった。本研究ではBCAAの代謝分解がエネルギーの消費につながるだけではなく、インスリン感受性を制御する代謝物の合成につながることを見出し、新規治療標的の可能性を提示した。
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