研究課題/領域番号 |
20K22649
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永嶌 鮎美 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (20814461)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 揮発性化合物 / 植物 / VOC |
研究実績の概要 |
自然環境下においては、食害を受けた植物の周辺に生育している健康な植物の食害抵抗性が上昇することが報告されている。近年、食害を受けた植物から放出される揮発性化合物によって、周囲の植物の抵抗性が誘導されることが明らかになってきた。しかし、揮発性化合物の情報を何らかのシグナルに変換し、応答を引き起こす機構は不明であった。 申請者らのこれまでの研究により、揮発性化合物の一種であるカリオフィレンと転写共役因子が結合すること、この因子がカリオフィレン応答性遺伝子の1つに関して発現誘導に関わることが示された。しかし、生理的な濃度のカリオフィレンが実際にプロモーターへの転写共役因子の結合能を変化させるかは未だ示されていない。また、細胞内へ揮発性化合物を輸送し濃縮する輸送体は不明である。そのため、植物における揮発性化合物への応答機構の全容は未だ解明されていない。 そこで本研究では、解析対象をカリオフィレン応答性の遺伝子群へと広げ、揮発性化合物の受容から遺伝子発現までの正確な経路の解明を目指している。 本年度は、現所属先でのタバコ培養細胞BY-2培養系および実験系の立ち上げおよび化合物の検出系の検討を試みた。 LCMSMSやLCマルチシステムを用いて種々の化合物の検出系の検討を試みたが、広範な化合物の分析を可能とすることはできなかった。今後は抽出方法を変更し、共通機器室に新たに設置されたGCを検出系として利用することを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組織改組に伴い研究環境の立ち上げを必要としたこと、感染拡大防止のための出校制限が生じたこと等により当初の予定よりも遅れが生じている。これに関しては、共同実験室の利用により対応を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
解析対象をカリオフィレン以外にも拡大して生理的な濃度(数nM)の揮発性化合物により発現量が変動する遺伝子をRNA-seqにより調べる。その際、揮発性化合物の輸送を担うと考えられる輸送体に着目し、候補となった輸送体の揮発性化合物輸送活性の測定を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までは、発注した物品の納期が未定で発注のキャンセルがあったこと、また、次年度からは共通実験台の利用を始めるに伴い必要な試薬、備品費用が多くなることから、物品費およびその他の区分の費用を次年度に持ち越しした。
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