1.マウス、ヒト、マカクのES細胞から分化させた肢芽間充織において、位置情報に応じた軟骨の形態形成、成長を三次元培養下で評価する実験系の確立が本研究の目的である。そのためにまず、実際のマウス胚から得た肢芽間充織細胞を三次元培養することで、肢の位置情報に応じて細胞がつくる軟骨の形状、数を変化させることができるモデル系を確立し、三次元培養下における軟骨の形態形成をライブイメージングで観察する実験に成功した。 さらに、三次元培養下での個々の細胞挙動を観察するため、エレクトロポレーションで一部の細胞をラベルしたのちに、細胞レベルの解像度でライブイメージングを行う実験に成功した。 現在、培養環境にモルフォゲン勾配を導入してより生体環境に近い形態形成過程を構築する実験を準備中である。 2.これと同様の実験を、全能性幹細胞から分化させた肢芽間充織を三次元培養で行うことを目指し、研究を行った。まず、ヒトES細胞を用いて、肢芽間充織への分化、さらにそこからの軟骨形成の条件検討を行った。その結果、側板中胚葉様の細胞塊から、肢芽間充織様細胞の塊が上皮間充織転換を経て飛び出してくる様子を得ることができた。これらの細胞の性状は、免疫染色、qPCR、bulk RNA-seqによって確認できた。現在、この細胞を使って、1. で明らかにした培養方法で形態形成を起こす実験を遂行中であり、進行は良好である。また、これと同様の培養方法をマウスES細胞を使って行い、種間比較を行うための条件検討を行っている。
|