研究実績の概要 |
ゴルジ体は多彩な糖鎖修飾を行う細胞内小器官であるが、ゴルジ体内における糖鎖修飾の種類と分布の関係性、および制御機構については明らかとなっていな い。本研究ではそのような糖鎖修飾ゾーンの存在を検証することを目的として解析を行う。これまでの解析で以下の結果を得た。 1)超解像顕微鏡技術であるSTORMによってGALNT6, GnT1, XYLT2のミニゴルジスタック内における局在を観察した。その結果、Giantinによってラベルされるミニゴルジスタックの辺縁部において、GALNT6, GnT1, XYLT2はクラスター様の塊を形成するように観察された。一方で、ゴルジ体局在タンパク質であるFAM3Cはミニゴルジスタックの辺縁部では無く、中心部に局在が見られ、ゴルジ体内におけるタンパク質の分布はゴルジ槽板レベルだけでなく、一つの槽板内において辺縁部近傍、及び中心部において区画化されていることが示唆された。 2)近傍標識法によるGALNT6, GnT1, XYLT2の近傍に存在するゴルジ体局在タンパク質を同定し、さらにペプチド検出数の高いゴルジ体タンパク質について免疫沈降法を用いて糖転移酵素との相互作用を解析した。その結果、カルシウム結合タンパク質や機能未知の遊離タンパク質との相互作用が確認された。カルシウム結合タンパク質を含むゴルジ体局在遊離タンパク質が糖鎖修飾に寄与するかについてはこれまでに報告されていない。遊離タンパク質の機能を明らかにすることで糖鎖修飾機構における新たな知見に繋がることが期待される。
|