研究課題/領域番号 |
20K22666
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 沙央里 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (10877319)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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キーワード | ハナホソガ属 / コミカンソウ科 / 絶対送粉共生系 / 虫こぶ / 相利共生 |
研究成果の概要 |
生物種間の相利共生はその普遍性から、何らかのメカニズムにより安定的に維持されていると考えられてきた。しかしそのようなメカニズムが存在しない相利共生系も報告されていることから、ダイナミックに変化しながら維持されていることが考えられる。本研究では、送粉共生系において種子食性送粉者が虫こぶ形成性を獲得したことで寄生的送粉者となり、宿主を共有する同属の種子食性共生者を絶滅へと追いやっていると仮説を立て、その検証を行った。その結果(1)寄生的送粉者は近年分布を拡大していることが明らかになり(2)虫こぶ形成性の進化背景には、寄生蜂の影響だけでなく宿主植物との相互作用も一因である可能性が示唆された。
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自由記述の分野 |
送粉生態学、進化生態学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、相利共生の利益とコストのバランスに関わる共生者の形質が変化した共生系に着目し、その進化背景の解明にアプローチした。従来の研究では、相利共生の安定性が「制裁」のみで説明されており、そうした共生者の形質は変化せず、一定に保たれると考えられてきた。それに対して、本研究の結果は様々な要因により相利共生の利益とコストに関わる形質は常に変化し続けているという、新たな見方の一つの根拠となる研究である。したがって、相利共生系は、「制裁」などの機構により定常状態に維持されているのではなく、様々な要因によりダイナミックに変化しながら維持されている、という新しい見方を提示する。
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