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2022 年度 実績報告書

形態で識別できない植物群マムシグサの訪花キノコバエ相に基づいた再分類

研究課題

研究課題/領域番号 20K22668
研究機関岡山大学

研究代表者

松本 哲也  岡山大学, 環境生命科学学域, 特任助教 (80876243)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2023-03-31
キーワード種分化 / 生殖的隔離 / テンナンショウ属
研究実績の概要

2020年から2021年にかけて,岡山県全域の広義マムシグサ50集団を対象に,訪花昆虫相と分類形質18項目の広域調査を行ったところ,形態では区別できないものの異なる送粉キノコバエを使い分ける隠蔽種2種が見いだされた.MIG-seq法で得たSNPデータを用いてSTRUCTURE解析を実施した結果,これらの隠蔽種間には若干の遺伝的分化が認められた.
以上の結果を踏まえ,種の独立性を生殖的隔離の強度に基づいて客観的に評価するために,2022年には混生集団1カ所を対象として2種の分布標高 (空間的隔離),開花期 (季節的隔離),訪花昆虫相 (送粉者隔離) の重点的調査を行った.これらの野外データから,Matsumoto et al. (2021) の計算法に従い,種間での生殖的隔離の強度を推定した.
まず訪花昆虫相に基づいて隠蔽種の判別を行い,分布標高と開花期を比較したところ,いずれも種間で大幅な重複が認められた.結果として,今回検討した3つの隔離機構のうち,送粉者隔離が最も強度が高かった.しかし,形態的に容易に区別可能なテンナンショウ属20ペアの数値 (Matsumoto et al. 2021) と比較すると,3つの隔離機構の積算値である生殖的隔離の強度はやや低い傾向にあった.過去3年間の結果を総合すると,今回見出された隠蔽種2種は,送粉者シフトに起因する種分化のごく初期段階にある可能性が高い.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 中国山地東部におけるホソバテンナンショウ(サトイモ科)の分布2022

    • 著者名/発表者名
      松本哲也, 高杉茂雄
    • 雑誌名

      植物研究雑誌

      巻: 97 ページ: 290-297

    • DOI

      10.51033/jjapbot.97_5_11198

    • 査読あり
  • [学会発表] 岡山県産広義マムシグサを対象とした訪花キノコバエ相に基づく隠蔽種の探索2023

    • 著者名/発表者名
      松本哲也, 平松勅悦, 柿嶋 聡, 宮﨑祐子, 末吉昌宏, 廣部 宗
    • 学会等名
      日本植物分類学会第22回大会
  • [学会発表] テンナンショウ属の不思議な生態:送粉様式・性表現・適応放散に注目して2023

    • 著者名/発表者名
      松本哲也
    • 学会等名
      第70回日本生態学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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