研究課題/領域番号 |
20K22673
|
研究機関 | 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪 |
研究代表者 |
西野 萌 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 学芸員 (20883531)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | 新生代 / 中期中新世最温暖期 / 形態進化 / 植物化石 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、約1600万年前の中期中新世最温暖期(MMCO)以降の全球的気温変動が引き起こした植物の形態進化の事例として、(1)コナラ属の葉化石を用いた温暖期における葉肉組織の厚化、および(2)ミキマツの球果化石を用いた寒冷化における種子数の変化を、それぞれの化石記録から明らかにすることである。 (1)コナラ属における葉肉組織厚の変化の観察 本年度(当該科研費1年目)は、MMCOのコナラ属植物化石(Quercus mandraliscae, Q. nathorstii, Q. praegilva)の標本サンプルの採集を試みた。採集した化石サンプルは、瑞浪層群山野内層(岐阜県瑞浪市)より採集し、組織切片作成および葉肉組織厚の計測に利用した。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、MMCO期に堆積した国見層相当層(福井県あわら市、MMCO期)、 比較対照とする寒冷期に堆積した犀川層(石川県金沢市,1200万年前)、および富山県有峰での現生コナラ属植物(富山県有峰)のサンプル採集が行えず、データが不十分であった。 (2)ミキマツの球果における種子数の変化の観察 大阪市立自然史博物館には、ミキマツ(Pinus mikii)の球果化石が多数保管され、1600万から330万年前までの形態進化を連続的な時間軸での追跡が可能である。またミキマツについては、これまでに正確な地質年代が調査・報告されている。本年度は、それらのデータを含む、当博物館に寄贈されたミキマツ球果化石における産地・地質年代等のデータの整理作業を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、コナラ属の現生種およびコナラ属化石種のサンプル採集が当初の計画より遅れた。 (2)代表者は、開始年度に現所属機関に着任した。通常業務の引き継ぎと来年度春の特別展の準備作業に加え、年度後半には、社会人学生 (博士前期)として籍を置いていた大学院の学位論文審査があり、当初の想定ほど時間をかけて研究課題に取り組むことができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況に注意しつつ、遅れていたコナラ属の現生種およびコナラ属化石種のサンプル採集を行い、コナラ属の現生種、およびMMCOと寒冷期のコナラ属化石種での葉肉組織厚を比較を行う。 (2)ミキマツの球果における種子数の変化について、年代ごとに球果化石の種子数と併せて、球果サイズ、鱗片数の計測を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によってサンプル標本の採集が当初の計画から大幅に遅れたため、初年度の旅費やサンプル解析に充てた経費が未使用となった。初年度に行えなかった採集については、新型コロナウイルスの感染状況に注意しつつ次年度に随時行う予定である。
|