本研究ではまずScan optogeneticsを構築した。このシステムはChR2をラット大脳皮質の特定領域で活性化するための青色光の位置を高速に移動させることができる。これを用いて、一点あたり5msecの刺激を32x32のグリッド上に配置した点群に対し100msecに一度連鎖的に行った。ラットの大脳皮質上部の頭蓋骨を薄くすることで青色光の透過性を高めることで、侵襲性を最低限度に保ったままのin vivo実験を可能とした。小脳皮質と小脳核、黒質緻密部にNeuropixelsプローブを配置し、大脳皮質からの神経活動の伝搬を調べた。この記録で得られたデータから、大脳皮質の特定領域の細胞活動が細胞タイプ依存的に伝搬する様子や、異なる遅延時間などが明らかになった。 Neuropixelsプローブは384電極同時記録が可能であるが、そのうち一つのチャンネルにおける細胞発火活動をリアルタイムに抽出することに成功し、BMIが可能なシステムの構築まで行ったが、実際にBMI実験に成功するところまでは到達しなかった。今後も継続していく予定である。 CNNとRNNに対し、音Cueに対するレバー引きによって報酬を得るトレーシングを行ったあと、単一ユニットの活動を条件付けするように深層強化学習によってトレーシングを行った。その結果、3層以上のCNNにおいては単一ユニットのオペラント条件付けが容易であることが明らかになった。RNNについては単一ユニットのオペラント条件付けによって細胞活動が大きく変化し、元の運動学習に影響が及んでしまった。これらのモデル実験は改善の余地があるため、今後も継続していく予定である。
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