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2020 年度 実施状況報告書

低線量・低侵襲化を目的としたX線光遺伝学法の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K22680
研究機関名古屋大学

研究代表者

松原 崇紀  名古屋大学, 環境医学研究所, 客員研究者 (50884475)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード光遺伝学 / X線 / シンチレータマイクロ粒子 / ChRmine / ドーパミン神経
研究実績の概要

特定の神経細胞の活動を体外から操作し、行動を自由に制御する方法は神経科学の大きな目標である。我々は生体透過性が極めて高いX線とX線を可視光へと変換するシンチレータを用いて、脳内に留置したシンチレータ結晶を体外からのX線照射により励起し、特定神経細胞に発現させたオプシンを駆動させる新手法の開発を行ってきた。しかしながら、現時点での問題点は、シンチレータ結晶の埋め込みによる組織侵襲とX線照射による被爆線量の大きさ(6-7 Gy程度)であった。そのため、より低侵襲で放射線量の少ない手法を開発する。シンチレータをマイクロサイズにまで粒子化することで、問題点を解決しようと試みたが、シンチレータからの発光量は約1/3以下にまで低下した。これまでに見出したシンチレータとオプシンの組み合わせでは十分な神経活動操作ができない可能性があったため、光高感受性オプシン(ChRmine)を用いてシンチレータ発光による誘発電流を測定したところ、培養細胞実験にて低強度のシンチレーション光で活性化できることを確認した。これを生体マウスにおいて実証するために、ドーパミン神経特異的にChRmineを発現させ、その周囲にシンチレータマイクロ粒子を注入した。X線照射により、ChRmine発現細胞の活性化が誘導できた。また、行動実験においてX線照射量を減少させるために、鉛板プロペラを作成し、X線をパルス照射(10Hz)する条件付けにより場所嗜好性試験を行った結果、当初の1/10程度のX線量でマウスの嗜好性行動を操作することが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本手法の低侵襲化、低線量化は困難であると考えていたが、マイクロ粒子の蛍光強度で活性化できるオプシンを用いることで神経活動を操作できることが分かった。また、X線パルス照射によりX線量を抑えてマウスの行動を操作できることが分かったため、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

前年度までに得られた成果を原著論文として発表する。また、マウス行動中の神経活動記録を行い、X線照射中に神経活動が誘導されている証拠を示す。さらに、病態モデル(パーキンソン病)の作成を行い、青色発光シンチレータとステップ・ファンクション・オプシンを用いて本手法の応用を試みる。

次年度使用額が生じた理由

昨年度はの所属の変更やCOVID19による影響があり、研究を有意に進めることができなかったため、差額が生じてしまった。本年度では昨年度の遅れを取り戻せるよう、疾患モデルの作成に重きを置いて研究に取り組む。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Remote control of neural function by X-ray-induced scintillation2020

    • 著者名/発表者名
      Matsubara Takanori、Yanagida Takayuki、Kawaguchi Noriaki、Nakano Takashi、Yoshimoto Junichiro、Sezaki Maiko、Takizawa Hitoshi、Tsunoda Satoshi P.、Horigane Shin-ichiro、Ueda Shuhei、Takemoto-Kimura Sayaka、Kandori Hideki、Yamanaka Akihiro、Yamashita Takayuki
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/798702

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] シンチレータ・マイクロ粒子を用いた遠隔的神経機能操作法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      松原崇紀, 柳田健之, 河口範明, 中野高志, 瀬崎真衣子, 滝澤仁, 山中章弘, 山下貴之
    • 学会等名
      第67回 中部日本生理学会

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公開日: 2021-12-27  

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