研究課題/領域番号 |
20K22698
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
釣木澤 朋和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10716210)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 動的機能的結合 / functional connectivity / マウス / functional MRI / 麻酔 |
研究実績の概要 |
本研究は、マウス大脳皮質体性感覚野の活動時に変動する動的機能的結合(dynamic functional connectivity, dFC)を解明し、安静時と体性感覚情報処理の間で機能的結合がどのように推移するかを明らかにする。今年度はマウスにおけるdFCの解析法の確立を目指し、無麻酔下と麻酔下のマウスでdFCを計測し、覚醒下から麻酔下へ神経ネットワークの推移を計測した。同一のマウスで、無麻酔下で安静時fMRI計測を行い、次にイソフルラン単独(Iso)もしくはイソフルランとメデトミジン混合麻酔(Iso + Med)をMRIボア内で導入し、麻酔下で安静時fMRI計測を行った。得られた時系列脳画像データから、独立成分分析により40個の機能的結合成分を抽出し、脳の解剖学的関係から、Default mode、local cortical network、subcortical networkといった7つの特異的なネットワークにカテゴリー分けができた。Iso、Iso + Med麻酔下のどちらでも覚醒下に比べてsub cortical networkの出現頻度が有意に低くなり、代わりに大脳皮質内のlocal cortical network出現頻度が有意に高くなった。この結果は、安静時において、麻酔下ではグローバルなネットワークよりも大脳皮質におけるローカルなネットワークの割合が増加することを示している。本研究により、マウスにおいても脳機能ネットワークの動的変動を計測することが可能となった。 来年度の研究実施に向けて、マウス大脳皮質感覚野にチャネルロドプシン(ChR2)をAAV投与により発現させている。本研究で確立したdFCを用いて、大脳皮質体性感覚野における光刺激による活動時と安静時のFCの動的な推移を計測する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウィルスによる影響で、フランスから日本への帰国が遅れ、結果的に研究のスタートも遅れた。そのため、今年度予定していたオプトジェネティクスの準備が整わず、動的機能的結合の解析法の確立から行った。オプトジェネティクスfMRIの実験系は順調に準備が進んでおり、来年度には計測可能である。
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今後の研究の推進方策 |
マウス大脳皮質感覚野にチャネルロドプシンを発現させ、感覚野神経細胞の活動を惹起させた時の機能的結合の推移を計測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響で、学会出張等の旅費が発生しなかった。遺伝子改変マウスの導入が遅れたため、次年度に繰り越しとなった。
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