研究課題/領域番号 |
20K22698
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
釣木澤 朋和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10716210)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
キーワード | 動的機能的結合 / functional connectivity / functional MRI / マウス / 麻酔 / オプトジェネティクス |
研究実績の概要 |
マウス覚醒下と麻酔下の動的機能的結合(dFC)の差異をまとめた結果をNeuroImageに掲載した。fMRI計測により得られた時系列脳画像データをテンプレート画像に合わせ、独立成分分析により70個の機能的結合成分を抽出し、脳の解剖学的関係から、Default mode、local cortical network、subcortical networkといった7つの特異的なネットワークにカテゴリー分けができた。これらの出現頻度を解析したところ、安静時において、麻酔下ではグローバルなネットワークよりも大脳皮質におけるローカルなネットワークの割合が増加することを示している。マウスモデルでのdFC解析は、本研究が初である。そのため、海外の研究者から、レビューに図を掲載するよう依頼が来るなど反響が大きかった。また、dFC解析のパイプラインを構築したので、今後は効率的に解析が可能となった。 さらに、チャネルロドプシン2(ChR2)を大脳皮質1次感覚皮質(S1)に発現させ、光ファイバーによる光刺激をfMRI計測中に行うことに成功した。光刺激により、S1におけるfMRI信号が増強することを観測した。得られたデータを独立成分分析を用いて機能的ネットワークを抜き出すため、来年度以降にサンプル数を増加する予定である。また、現行の表面コイルでは、光ファイバーにコイルが当たるため、表面コイルと脳との距離が長くなることがわかった。計測データのクオリティを高めるために、送受信コイルを作成することを検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他のエフォートとの兼ね合いで、オプトジェネティクスの開発に予想以上に時間がかかってしまった。しかし、光刺激による脳活動計測に成功したことと、解析のパイプライン構築が終わったことで、今後はデータを量産できる。 よりクオリティの高いデータを得るための課題として、頭部に挿入した光ファイバーと送受信コイルが当たらないようなコイルを設計する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
オプトジェネティクス用の新規コイルを作成する。解析のパイプラインを拡張し、人でも動的機能的結合を解析できるようにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスにより、消耗品の納入に時間がかかったことと、実験の進行が若干遅れたため。
|