研究実績の概要 |
本研究は、マウス大脳皮質体性感覚野の活動時に変動する動的機能的結合(dynamic functional connectivity, dFC)を解明し、安静時と体性感覚情報処理の間で機能的結合がどのように推移するかを明らかにする。今年度はマウスにおけるdFCの解析法の確立を目指し、無麻酔下と麻酔下のマウスでdFCを計測し、覚醒下から麻酔下へ神経ネットワークの推移を計測した。同一のマウスで、無麻酔下で安静時fMRI計測を行い、次にイソフルラン単独(Iso)もしくはイソフルランとメデトミジン混合麻酔(Iso + Med)をMRIボア内で導入し、麻酔下で安静時fMRI計測を行った。得られた時系列脳画像データから、独立成分分析により40個の機能的結合成分を抽出し、脳の解剖学的関係から、Default mode、local cortical network、subcortical networkといった7つの特異的なネットワークにカテゴリー分けができた。Iso、Iso + Med麻酔下のどちらでも覚醒下に比べてsub cortical networkの出現頻度が有意に低くなり、代わりに大脳皮質内のlocal cortical network出現頻度が有意に高くなった。この結果は、覚醒下では脳全体に機能的ネットワークが機能しているが、麻酔下ではこれらのネットワークが大脳皮質におけるローカルなネットワークに推移することを示している。本研究により、マウスにおいても脳機能ネットワークの動的変動を計測することが可能となった。 来年度の研究実施に向けて、マウス大脳皮質感覚野にチャネルロドプシン(ChR2)をAAV投与により発現させている。本研究で確立したdFCを用いて、大脳皮質体性感覚野における光刺激による活動時と安静時のFCの動的な推移を計測する。
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