放線菌 Streptomyces calvus T-3018 が生産する nucleocidin は 4-フルオロリボースを基本骨格とし、また一級スルファメート部位を側鎖として持つ極めて ユニークなヌクレオシド天然物である。Nucleocidin はフッ素原子を含む数少ない天然物の一つであるが、その生合成経路の詳細は未だ明らかになっていない。 本研究では、nucleocidin の生合成経路における、リボース骨格へのフッ素原子の導入および、スルファメート部位の形成を含む生合成経路の解明を目的とし、 遺伝子破壊実験と in vitro 酵素反応解析を計画した。これまで nucleocidin の生合成を担うと考えられる9つの酵素全てを可溶性タンパク質として大腸菌または放線菌から異種発現、精製した。また、生合成遺伝子クラスターに含まれる遺伝子を網羅的に破壊することにより、生合成に必須である遺伝子を同定し、生合成機構を提唱した。
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