研究課題
本研究課題では、外来mRNAの可視化を目指して (A)蛍光標識した核酸プローブとの結合によるRNAイメージング (B)当該プローブを効率的に細胞導入するための化学修飾構造の最適化 に取り組んだ。(A)に関する先行研究として、蛍光前駆体または活性化ユニットを付加した2本1組の核酸プローブを相補的なRNA配列に隣接して結合させることでRNA上で蛍光体を作らせ、大腸菌における配列選択的なRNAイメージングを実現していた。これを真核細胞であるHeLa細胞に適用したが、プローブ結合効率の低さゆえか十分な蛍光シグナルが得られなかった。そこで結合効率の向上を目指して化学修飾の導入や配列の最適化を行い再試行したが、蛍光シグナルの増幅には至らなかった。同手法でのRNAイメージングを断念し、次に、蛍光標識ヌクレオチドを利用した蛍光標識RNAの合成を行った。化学修飾による翻訳制御にも取り組んでおり、それによる翻訳過程の観察も予定している。(B)について、これまではジスルフィド修飾ユニットを5つ付加して細胞膜透過性を付与した化学修飾核酸を用いていたが、細胞導入後の時間経過に伴い一部で蛍光集積が見られており、ユニットを5つ連続させたことによる強い疎水性が、核酸同士あるいは内在性分子との望まぬ相互作用を招いている可能性も考えられた。より少ないユニット数で効果的な細胞導入を実現する化学修飾構造の探索に取り組み、有望な構造を2つ発見した。一つはこれまで同様にジスルフィド修飾を付加したもの、もう一つはボロン酸修飾を付加したものである。これらの修飾構造を用いた場合の細胞内導入過程の観察や導入メカニズムの解明を今後行っていく。これらの修飾構造によって長鎖核酸であるRNAの導入が可能かについても検討し、引き続き修飾構造の最適化に取り組む。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件)
ChemBioChem
巻: 22(24) ページ: 3437-3442
10.1002/cbic.202100413