研究課題
研究活動スタート支援
ヒト胎盤栄養膜細胞におけるエクソソームを介した高分子輸送の仕組みを解明することは、近年新たな創薬モダリティーとして注目されている核酸やタンパク質医薬を用いた、効果的な胎盤治療を実現させるために重要である。本研究は、ヒト胎盤由来エクソソームの胎盤栄養膜細胞への取り込みには、少なくとも一部に、シアル酸結合受容体やヘパラン硫酸プロテオグリカン、細胞膜融合因子であるMFSDが関与することを明らかにした。本研究から、ヒト胎盤栄養膜細胞におけるエクソソーム輸送経路を同定することができた。
生物薬剤学
本研究を通して、エクソソームをキャリアーとして用いた、胎盤栄養膜細胞への高分子薬送達の学術的基盤を構築した。本研究成果は、内在性レトロウイルス由来エンベロープタンパク質の膜融合能を利用した、ヒト胎盤組織へのエクソソーム送達システムの構築や、高分子医薬による「胎盤治療」を軸とした、妊娠合併症に対する治療薬の開発戦略に貢献することが期待される。