我々は、粘菌が分泌する生理活性物質のDIF-1が、mTOR/S6Kを調節することで、腫瘍増殖を阻害することを明らかにしている。本研究ではS6Kを調節するAMPKに着目しDIF-1のターゲット探索を行った。乳癌細胞を用いた実験で、DIF-1はAMPKのリン酸化レベルを上昇(活性化)させ、それに伴いRaptorのリン酸化レベルを上昇(活性化)、S6Kの脱リン酸化(不活性化)を促した。DIF-1は乳癌細胞の増殖抑制と遊走・浸潤抑制を行うが、その共通メカニズムとしてDIF-1によるAMPKの活性化が明らかとなった。本研究で、DIF-1が新規抗がん剤の開発のための有望なリード化合物であることが示された。
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