研究実績の概要 |
エイズは、抗HIV薬を服用することにより、感染しても発症を抑えることが可能になった。しかし、HIVはヒトの細胞内に潜伏感染するため、抗HIV薬や免疫細胞により根治することができない。そこで、エイズを根治する戦略として、潜伏感染しているHIVに刺激(ショック)を与えてHIV産生を活性化させ、抗HIV薬あるいは自己免疫によりエイズを根治する(キル)「ショック&キル法」が期待されている。しかし、これまでに臨床試験に至った潜伏感染活性化物質(latency-reversing agent: LRA)は報告されていない。 そこで、研究室で保有する天然資源エキスを用いてスクリーニングしたところ、真菌共培養エキスはHIV産生活性化に対して高いヒット率を示し、かつ哺乳類細胞に対する毒性は弱かった。そこで、真菌共培養エキスから新規HIV産生活性化物質を探索している。 HIV産生の活性化は、HIV DNAの末端の長い反復配列(long terminal repeat, LTR:LTRの活性化によりHIV DNAの転写が促進される)の転写促進作用の活性化をレポーターアッセイ(luc遺伝子産物ルシフェラーゼによるルシフェリン発光)で検出した。スクリーニングにより、宮崎県日向市の土壌から単離した2種類の真菌を寒天培地上で共培養したエキスにLTR活性が認められた。そこで、再培養を行い、当該共培養エキスが再現性を示すことを確認した。現在、LTRを活性化させる化合物の精製を行なっている。
|