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2020 年度 実施状況報告書

Naked pDNA粉末眼球直接塗布による自己投与可能な遺伝子治療製剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K22713
研究機関岐阜薬科大学

研究代表者

伊藤 貴章  岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (20878160)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード眼部治療 / naked pDNA / 遺伝子デリバリー / 噴霧急速凍結乾燥法 / 電界紡糸法 / 凍結乾燥法
研究実績の概要

本研究では、遺伝子導入剤を含まない粉末pDNA (naked pDNA)製剤の眼科領域への展開を目指し、非侵襲的な眼局所塗布型pDNA製剤の有用性を証明し製剤設計基盤を構築することを目的としている。本年度は、様々な調製方法や賦形剤を駆使して物性の異なるnaked pDNA粉末製剤を網羅的に調製し、薬物安定性と非侵襲性を高いレベルで満たすnaked pDNA製剤の調製法および組成を見出すことを試みた。
当初予定していた凍結乾燥や噴霧凍結乾燥に加え、電界紡糸法を用いたpDNA調製方法を採用した。走査型電子顕微鏡を用いて各種粉末製剤の表面を観察した結果、調製方法および組成が表面構造に大きく依存することを明らかにした。噴霧急速凍結乾燥法および電界紡糸法で調製したnaked pDNA製剤は多孔構造を確認した。次に、アガロースゲル電気泳動を用いて、粉末製剤化後のpDNA薬物安定性を評価した結果、いずれの調製方法でもpDNAの分解が確認された。調製条件による影響を比較した結果、凍結乾燥が最も優れた薬物安定性を示した。室温で1週間保存した結果、naked pDNA粉末は液剤よりも長期安定性に優れていた。最後に、naked pDNA粉末剤の細胞障害性をin vitroにおいて評価するため、MTS試験および経上皮細胞膜抵抗 (TEER)値測定を行った。細胞表面が空気と接触した状態の気液界面細胞培養系を用いて眼球表面を再現し、細胞層に各種naked pDNA製剤粉末剤を分散添加した。その結果、対照群であるpDNA / polyethyleneimine (PEI, 既存のカチオン性遺伝子導入剤)複合体液剤と比較して、優れた安全性を示した。TEER値はわずかに低下したものの可逆的で、低下率はpDNA / PEI複合体液剤よりも軽微だった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画に加えて電界紡糸法による調製方法を採用し、調製法と組成の最適化に努めた。電界紡糸法は室温でpDNAを安定に粉末製剤化できる点で非常に有望であり、今後引き続き評価する価値がある。
本年度予定していた、「眼科用naked pDNA粉末製剤の設計」および「気液界面細胞培養系を用いたin vitro細胞障害性評価」は概ね実行できた。一方で、検討製剤数が増えたことで、当初予定していたin vitro遺伝子発現評価は完遂できなかった。
以上の理由から進捗状況を判断した。

今後の研究の推進方策

推進方策について大きな変更は無い。本年度に優れたpDNA薬物安定性と細胞障害性を示した調製方法および組成を用いて、本年度完遂できなかったin vitro遺伝子発現評価を完遂する。当初の計画通りに、優れた遺伝子発現を示すnaked pDNA粉末剤を用いて「Naked pDNAの遺伝子発現メカニズム解明」および「Naked pDNA製剤のin vivo評価」の2つを推進する。進行状況によっては、眼疾患モデルマウスを用いた遺伝子治療評価やsmall interfering RNA (siRNA)を用いたnaked siRNA製剤の開発を検討する。
また、本年度の検討において、製剤組成と細胞種の違いによって遺伝子発現効率が変化することを確認した。本結果は、naked pDNAの細胞内移行が特異的経路を介していることを強く示唆するものであり、単一の細胞種におけるスクリーニングが適当でない可能性がある。その点を考慮して次年度は、複数の細胞種を用いてpDNAの細胞内動態を観察する。当初の予定より、効果が期待できる組成を多く選択し、製剤組成の最適化を試みる。
これらの研究結果を総括し、セルフメディケーションが可能な難治性眼科疾患の遺伝子治療への道筋をつける。
仮に、満足する遺伝子発現が得られないなどnaked pDNA粉末剤単独で眼部への応用が困難な場合は物理的に遺伝子導入するエレクトロポレーションやソノポレーションとの併用を計画している。

次年度使用額が生じた理由

物品費が予定額を下回った。残余額は2000円以下と少額であり、次年度に必要物品を購入する。

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公開日: 2021-12-27  

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