研究課題
心不全の進展に心筋細胞肥大が関与しており、その発症メカニズムの解析が広く行われている。申請者は、心肥大期から心不全期にヒストンのテールドメイン(H3K9)から球状ドメイン(H3K122)へアセチル化の修飾部位が変化すること、さらにヒストンアセチル化酵素活性を持つp300がこれらのヒストンのアセチル化に関与していることを見出した。また、p300は心肥大期並びに心不全期において肥大反応遺伝子プロモーター上へのリクルートが同程度であり他のp300に結合する因子がヒストンのアセチル化修飾部位の変化に関与していることを明らかにした。しかし、心肥大期から心不全期にかけてヒストンアセチル化修飾部位が変化する詳細については解明されていない。そこで、心肥大から心不全にかけてp300結合タンパク質が変化したことによりヒストンのアセチル化修飾部位が変化したと考え、心肥大や心不全との関連が報告されているタンパク質の中からクロマチンリモデリング因子に着目した。その中でも、SWI/SNI複合体の中心的な役割を果たしているBRG1に着目した。本研究の目的は、心肥大期から心不全期にかけてヒストンのアセチル化修飾がなぜ変化するのかについて詳細に解明することである。本研究ではBRG1コンディショナルノックアウトマウスやBRG1の阻害剤を用いて検討していく。
3: やや遅れている
コロナの影響により動物実験に関する進捗が遅れている。BRG1コンディショナルノックアウトマウスを作成し、ノックアウトの確認を行っているところである。また、BRG1の阻害剤を用いて心筋細胞肥大に対する検討を行っており、必要なデータはそろいつつあるものの動物実験に移行できていない。
BRG1コンディショナルノックアウトマウスに大動脈縮窄(TAC)術を行い心不全を誘導する。心エコー検査を行い心機能を解析し、コントロールの野生型(WT)マウスと比較する。次に、WB並びにChIPアッセイにてヒストンのアセチル化修飾部位がBRG1のノックアウトにより変化するかどうか解析する。並行してWTマウスにTAC術を施し、BRG1の阻害剤の投与を行い心不全に対する効果の検討並びにメカニズム解析を行う。
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International Journal of Molecular Sciences
巻: 22 ページ: 1771~1771
10.3390/ijms22041771