研究課題
P-糖タンパク質(P-gp)や乳がん耐性タンパク質(BCRP)、多剤耐性タンパク質2(MRP2)は細胞膜上に局在して薬物を細胞外に排出するトランスポーター(ETPs)であり、がんの多剤耐性に関与している。肺がん細胞に転写調節因子Snailを導入したとき、ETPsの足場タンパク質Moesin(Msn)のmRNAの発現が誘導され、P-gpの活性が高まることを見出した(Snail→Msn→P-gp連関系)。本研究では、Snail以外の転写調節因子であるSlugが、足場タンパク質の活性を調節して間接的に、あるいは足場タンパク質を介さずに直接的にP-gp、BCRPおよびMRP2の活性に関与しているか否かを、肺がん細胞および肺がん患者から採取した検体試料を用いて確認することを目的とした。Slugを導入したHCC827細胞におけるMRP2のmRNAおよびタンパク質発現量はMockと比べて有意に高かったが、足場タンパク質のmRNA発現量には有意な差はなかった。また、細胞取り込み実験において、Slugを導入したHCC827細胞の細胞内CDCFおよびSN-38濃度がMockと比べて有意に減少した。SN-38を加えたとき、Slugを導入した細胞の細胞生存率はMockと比べて有意に増加した。さらに、肺がん患者におけるSlugとMRP2のmRNA発現量に高い相関もみられた。このことより、肺がん細胞において、Snail以外の特定の転写調節因子が足場タンパク質を介さずに直接ETPsの発現量増強に寄与している可能性を見出した。本研究はSlugがMRP2の発現と機能において調節的な役割を担っていることを証明するものである(Slug→直接MRP2連関系)。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
Radioprotection
巻: - ページ: -
10.1051/radiopro/2022006
Canadian Journal of Infectious Diseases and Medical Microbiology
巻: - ページ: 4005327
10.1155/2021/4005327
Journal of Biophotonics
巻: 15 ページ: e202100266
10.1002/jbio.202100266
The British Journal of Radiology
巻: 95 ページ: 20200810
10.1259/bjr.20200810