我々は正常ヒト表皮角化細胞を炎症性サイトカインであるTNF-α+IL-17A+IFN-γにて同時刺激(すべて50ng/ml)したところ、相乗的にサイトカイン・ケモカインの発現を増強することをすでに見出している。これらのサイトカイン(TNF-α、IL-17A、IFN-γ)はすべて乾癬病変部で発現が増加しているサイトカインであり、正常ヒト表皮角化細胞においてTNF-α+IL-17A+IFN-γにて同時刺激によりp19蛋白をコードしているIL-23Aの発現も転写レベルで増強していることをリアルタイムPCR法で確認した。培養上清中の蛋白質を測定するためにELISA法を行ったところ、IL-23、IL-39の蛋白質発現は非常に低値であったため検出することができなかった。IL-23、IL-39については検出感度以下であったため、培養上清を遠心式限外濾過フィルターで処理・濃縮して計測を試みたがやはり検出感度以下であった。IL-23A(p19)のみELISA法にて蛋白質の誘導が確認された。濃縮された培養上清および細胞溶解液中のp19を含む蛋白質を検出するために、抗p19抗体を使用したウエスタンブロット法を用いた。結果としてp19を含む複数のサイズの蛋白質が検出された。これらの結果によってTNF-α+IL-17A+IFN-γで刺激された表皮角化細胞は、p19モノマーやホモダイマー、あるいはp19含有新規サイトカインを発現していることが示唆された。これらの成果をInternational Journal of Molecular Scienceに投稿、掲載された。
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