研究実績の概要 |
本研究課題では、神経性セロイドリポフスチン症(NCL)とオートファジーとの関係について解析することを目的に研究を行っている。具体的には、NCLの原因遺伝子の一つであるカテプシンD(CTSD)とオートファジー機能不全モデルであるAtg7の神経系特異的両欠損マウスを作成して、神経細胞内で蓄積するリソソームの変化と、その中でのオートファジーの役割について検討を進めている。 目的とする神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスを作成する間、今年度はCTSD単独欠損マウスと、同マウスから採取した線維芽細胞を用いて、オートファジーとの関連について解析を進めた。CTSDを欠損した神経細胞や線維芽細胞内では、選択的オートファジーの受容体タンパク質であるp62、NBR1が蓄積するが、栄養飢餓条件下で強制的にオートファジーを誘導するとこれらは有意に減少することを明らかにした。また、CTSD欠損神経細胞内で認められるp62やNBR1の蓄積は、細胞質にある一部の構造体に限局される可能性を見出した。この構造体についての詳細を明らかにするため、以降では、光-電子相関顕微鏡法(CLEM)や三次元電子顕微鏡法を用いて、電子顕微鏡レベルで解析を進めていく予定である。さらに、作成した神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスを用いて、オートファジー機能不全条件下でのNCL病態変化についての検討を加える。 また、電子顕微鏡を用いた解析で共同研究を行って学術論文を発表した。(Isei Tanida , Yoko Furuta , Junji Yamaguchi , Soichiro Kakuta , Juan Alejandro Oliva Trejo , Yasuo Uchiyama Two-color in-resin CLEM of Epon-embedded cells using osmium resistant green and red fluorescent proteins. Sci Rep. 2020 Dec 14;10(1):21871)
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