研究課題/領域番号 |
20K22748
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
横西 哲広 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40881008)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 精子形成 / 精子幹細胞 / セルトリ細胞 / 精細管内移植 |
研究実績の概要 |
小児がんサバイバーの約3割が、晩期合併症である不妊症を発症する。しかし、精子凍結保存が叶わない性未成熟の若年性がん患者の妊孕性の温存法は確立されていない。申請者はマウスの精細管内にベンザルコニウム塩化物(Benzalkonium Chloride; BC)を注入すると、精子幹細胞ニッチを構成するセルトリ細胞を選択的に除去することを見出した。BC注入後のマウス精巣に別個体の精巣細胞を移植することで、精子幹細胞だけでなくニッチを構成するセルトリ細胞、ライディッヒ細胞や筋様細胞を置換でき、宿主の精巣内でドナー由来の精巣を再構成することに成功した(Yokonishi, Nat commun., 2020)。本手法を用いることで、マウス精巣の中でヒト精巣を再構築すれば、若年性男性がん患者の妊孕性の温存法となると期待された。 BC注入後の移植効率は低いため、宿主の前処置法を改良し、ドナー細胞の定着率を向上させる必要がある。アルキル化剤のブスルファン腹腔投与は、精子幹細胞を死滅させ、生殖細胞を除去できる。本申請研究では、ブスルファン投与後の精巣にBCを注入し、セルトリ細胞へのBCの効果増強と副作用について検討した。ブスファン投与+BC群ではコントロールと比較し、セルトリ細胞と生殖細胞除去率が向上し、その他の間質細胞や精巣の構造に影響は与えなかった。ブスファン投与+BC群への移植効率については検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で使用するマウスに対し、ベンザルコニウム塩化物の投与濃度の最適化が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、ブスファン投与+BC群での移植効率を検討してゆく。効果を得られれば免疫不全マウスに応用し、異種移植に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後は新たに改良した前処置法における、同種、異種移植の検討を本格的に進める予定ある。そのために、免疫不全マウス購入費、トランスジェニックブタ精巣の購入費や培養液・成長因子の購入費などに、研究費の大部分をあてる予定である。
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